2025/08/03

セリフ集:ピザ娘のマリア

ローグレガシー2の一回限りのセリフ集です。
汎用セリフや日記、記憶の断片などの何度でも聞ける(読める)セリフは省略しています。
金色の扉以降のセリフはさすがに自力で見てください。



ピザ娘
 こんにちは! 君、見かけない顔ね。 こんなへんぴな所で誰かに会うなんて、
 正直思ってもみなかったけど、会えて嬉しいわ、旅人さん!

 そうそう、私の名前はマリアっていうの。

 太陽の塔に行く途中で地転が起こって、すぐ真横にモンスターが数体現れたの!
 だから走ってこのピザショップに戻って、
 モンスターがどっか行ってくれるまで隠れてることにしたってわけ……

 もしくは、誰かが退治してくれるまでね。そうそう、退治してくれて、感謝してるわ。

 その身なりを見れば分かるけど、君はこの辺の人じゃないみんでしょう?(原文ママ)
 ひょーっとして、上から来たとか? あの金色の扉を開けるため?
 心配しないで。根掘り葉掘り聞こうってわけじゃないの。
 ただ、もしかしたら役に立てるかもって思ったから。

 もし機会があれば、ポータルのところまで来て。どのポータルでもいいわ。
 私たち、助け合えるかもしれないし。

 助けてくれてありがとうね。私、もう行かなきゃ。

 今のうちに、ポータルのことを調べたいから……


ピザ娘のマリア
 大丈夫よ、ただひと息ついてるだけ。
 塔のポータルはすぐ上にあるから、先に行ってて。私もすぐ追いつくわ!

 だてに二週間の配達員要請トレーニングを受けたわけじゃないんだから!



ピザ屋のマリア
 また会ったわね、旅人さん!
 つまり、私の提案に興味があるってことかな? すごく嬉しい!

 無視されるかもって心配だったから。
 君って思ってることを顔に出さないでしょ、だからどう思われてるのかよく分からなくて。

 じゃあまずは、きちんと自己紹介をさせてね。
 私の名前は、マリア。昼間はピザの配達員を、夜はアマチュア地質学者をやってるわ。

 配達員だからって、見くびっちゃだめよ。
 地転の影響でどこもかしこも入れ替わる世界でデリバリーをするのは、大変なんだから。
 一歩間違えれば、自分がトッピングにされちゃうんだもん。

 でも私にはある才能があって…… 地転を予測できるの。で、いつ移動したかとか、
 これからどこに行くかとかが分かるの…… だからこそ、君と私は協力し合えるってわけ!

 ここにポータルがあるでしょ? これはね、地脈を通じて別のポータルとつながってるの。
 これを起動すれば何度でも行き来できるんだけど、いったん地転が起こるとそのつながりが切れてしまう。

 でも、ポータルの研究(とデリバリーへの活用)をしばらく続けるうちに、
 地脈のことが分かってきたの。

 だから、君が十分な資金を提供してくれれば、ポータルを永久に開通したままにできるわ!

 それで私に何の得があるのかって? そうね、ポータルが開通していれば、
 地転のせいで身動きが取れなくなった人たちを救出できるでしょ。

 誰もがこの危険な地域をひとりで移動できるわけじゃないから、
 ポータルのおかげで文字通り命拾いできる人たちもいるってわけ!

 どう思う?
 ポータルがあれば、君は世界を楽に行き来できて、私は困ってる人を助けてあげられる。

 1500 ゴールドで、それが可能になるのよ。


ピザ娘のマリア
 最高! ちょうど、このルートが必要だったの。
 じゃあ後はこうして…… 準備オッケーよ!

 力になってくれて、ありがとう! これで行き来できるようになったわ!



ピザ娘のマリア
 こんにちは、旅人さん。橋で助けてくれたこと、改めてお礼を言うわね。
 長い間あそこで立ち往生してたから、頭がどうにかなりそうだったの。

 私たちはずーっと地下にいて、助けが来るのを待ち続けてるから、
 希望なんてなくしちゃってたのよね。

 ああ…… まだ地下にいるのは分かってるけど、波止場に立ってる今この瞬間は、
 たぶんこれまでで一番幸せかもしれないわ。

 ……もっとここでのんびりしてたいけど、そうもいかなくて。
 この王国には、助けを待ってる人たちが他にもまだまだいるんだもの。
 次に君が王国に戻る時は、一緒に舟に乗りましょ。
 私たち、いい船旅仲間になれるわよ。



ピザ娘のマリア
 こんにちは、旅人さん! さっきは舟に相乗りさせてくれて、ありがとう。
 私はお仲間がいて楽しかったし、君は無料のピザを楽しめただろうし、いいことずくめね!


ピザ娘のマリア
 時々、森の香りと雰囲気がたまらなく恋しくなるのよね。
 波止場ってすごくいい景色だとは思うけど、
 目を覚まして朝露の香りを楽しむことほど素敵なものはないわ。

 河の守人ナアマはとてつもなく残酷かもしれないけど、仕事に関してはとても有能よね。
 森は、ナアマの世話と保護のもとで育まれたんだから。

 大したことないって気がするでしょ?
 でもここで森を育てるのはね、重労働なんてものじゃないくらい大変なの。

 ……ナアマほどの偉業を達成できる人なんて、他に誰もいなかったと思うわ。

 …………

 ……他に何が恋しいか分かる? ピザよ。

 二十分ほど前に食べたばかりなのに!


ピザ娘のマリア
 私ね、昔は農家をやってたの。知ってた? この王国の人たちはみんなそうよ。
 正確には私たちの身分は「庭師」なんだけど、
 自分たちのことをそんな風に呼んでた人なんていないわ。

 私たちは、自然のままに土地の手入れをして、作物を育てたの。
 耕したり、囲ったり、伐採したらダメ。

 それが、河の守人ナアマが決めた規則だった。
 移住した時よりも土地の状態をより良いものにしなきゃならないの。

 私は、人と接する時もその規則を肝に銘じるようにしてる。
 私たち全員がお互いに助け合うようにすれば、世界ははるかに良い場所になるでしょ。

 だから私はピザの配達がこんなに好きなのかも。

 だって、みんなピザが大好きだから!


ピザ娘のマリア
 今日は、いいことが起こる気がするわ。
 あなたは活力の塊って感じだし、私はピザの塊って感じだし、
 天気は…… これは、いつもと変わらないわね。


ピザ娘のマリア
 農家をやめるって決めた時のことは、今も覚えてるわ。
 私は食糧集めが得意で、王国中でも一二を争うほど素早かったの。

 いつ地転が起こって、どこに転位するかも私には分かるみたいだったし。
 だから、地転が起こった後に世界軸の近くに転位するのが分かっていた場所で、
 常に食糧を探すようにしてた。

 移動時間を半減させることができれば、ノルマを果たすのだってかなり楽になるしね。

 私はいつも、この直感が普通のことだと思ってたわ。
 食糧を集める時には、いつだって他の人たちが近くにいたから。
 誰もがこの能力を持っているものだと思ってたの。

 実際はそうじゃなくて、みんなただ私を追って来てただけだったんだけどね。

 でも、そのことを私に話したら、その能力が失われてしまうという噂があったの。
 だから、何年も私は何も知らないままだったわ。

 ……真相を知ったのは、怪我人が出た時だった。
 彼はタブーを破って、地転で仲間を要塞に連れて行くことができるか尋ねたの……

 ……おかしいでしょ? 誤解が誤解を呼び続けていたのよ。

 もし誰かがはっきり言ってくれていれば、
 私がこの能力を当たり前だと思うことはなくて、はるかに多くの人を救えていたはず。

 私が農家をやめたのは、その時よ。

 貯金を手に、ステュクス大書殿に職を求めに行ったの。
 この直感がどのような仕組みなのか分かれば、
 他の人たちに教えてあげることができるかもしれないと思って。

 ……この話の何が皮肉か分かる? この能力について知ってすぐに、私が村を出たってこと。
 最終的には誰も私の才能を使えなくなったんだから、結局のところ噂は本当だったってわけ!

 ……でも、そのせいでこの話の教訓を台無しにしないでね。


ピザ娘のマリア
 あの時は話を聞いてくれてありがとう、旅人さん。

 ここに長くいると、顔を見なくても、その人の魂で相手が誰か分かるようになるの。
 ここにいる人なら、誰だってそうできるわ。
 たぶん、ものすごく長い間ステュクスの近くにいた影響でしょうね。

 君の魂は特殊だわ。まるで、千もの小さな光が集まってるみたい。
 河の守人に似てるけど…… 違う。

 もっと「良い」光なのよね……

 まるでホタルが密集する木のようなんだけど……
 もちろん、虫でできてるって言ってるわけじゃないわよ。


ピザ娘のマリア
 また会ったわね、旅人さん。またすぐに王国に行くの?
 自分をちゃんと労わってあげてよね?

 私ひとりで戻るの、すごく寂しいんだから。

 ……それに正直言って、あなたが何度も命を落としているのも、ちょっとエグいというか……


ピザ娘のマリア
 どうも、旅人さん…… この前海に出た時は、君の上に吐いちゃってごめんなさいね。
 海を見てるだけで胸がムカムカすることもあって。

 小さい頃から舟に乗ってたのに何でいきなりこうなったのか分からないけど、とにかく最悪だわ。
 もしまた吐きそうになったら、急いで…… 別の方を向くようにするから。
 (本当にごめん)


ピザ娘のマリア
 こんなに長い間ここにいる羽目になるとは、思ってもみなかったでしょ?
 焦らないでね。私は、今も毎日助けが必要な人を見つけては、
 ステュクス海を渡って避難してもらってるんだから。

 多くの人たちが、これまでずっと救出されるのを待ち続けてきた。
 でも、その人たちの目を見れば分かるの。
 この場所が恋しくなるんだろうなって……

 ……状況は最悪でも、ここには好きにならずにいられないことがたくさんあるから。


ピザ娘のマリア
 こんにちは、旅人さん!

 私がピザの配達員の仕事を始めたのは、ステュクス大書殿の地質学者に
 なろうって決めてからだって知ってた?

 初めは短期のバイトになるはずだったんだけど、やってる内に理想の仕事になったの。
 給料は少ないけど、それ以外の面ではどれも完璧なんだもん!

 勤務時間は好きに選べるし、仕事場は世界軸のど真ん中だしね。

 昼間はピザの配達をして、夜は大書殿で地質学の勉強をしてたの。
 王国有数の学者たちの見習いになったのよ。

 私が地質学に夢中になったのは、たぶん、いつだって喜んで相談に乗ってくれる人が
 いたからだと思う。

 ……タダでピザをあげてたからかもしれないけど!


ピザ娘のマリア
 旅人さん、私ね、君がここに連れてきてくれた人たちが大好きよ。本当にいい人ばかり。
 私は一文無しなのに(だってカロンに全部取られるし)、ここでは誰もが私によくしてくれる。

 君のお友達の付術師は、特に優しいわね。
 一見高飛車そうな人だけど、ほとんど毎日のように料理を作ってくれるの。

 ピザばかり食べるのにも、限度ってものがあるものね。


ピザ娘のマリア
 ピザはね、世界中の食べ物の中でも最も低コストな料理のひとつだって知ってた?
 ピザ作りに必要なのは、生地と、トマトと、チーズだけなんだから。

 すごくシンプルだけど、みんな大好きよね!

 ここに移住した最初の頃、河の守人ナアマは食糧の配給を厳しく制限したんだけど、
 トマトと小麦は簡単に育つから……
 ピザの材料は常にたっぷりあったの。それで、自然とピザが国民食みたいになったのね。

 私が生まれる前はチーズはまだ貴重品だったらしいから、
 多くの人たちはチーズなしのトマトピザを食べてたんだって。
 私は試したことないけど、美味しいらしいわ!


ピザ娘のマリア
 ねえ、旅人さん、私も生きた金庫に口座を開設できるのかな?

 行く先々でコインを見つけることがあるんだけど、
 それを全部カロンにあげちゃうなんて、もったいないでしょう?

 まあ、何か見つけたのならカロンに渡すべきかもしれないけど……
 何も渡さないってのは、彼の気前の良さに甘えてる気がしないでもないしね。


ピザ屋のマリア
 旅人さん、あなたっていい人ね。
 これまでに何度も会ったけど、会うたびにあなたの中にある輝きが増していってるわ。
 その輝きが何なのか、少しずつ分かってきたところ。それが私に希望を与えてくれてるの。

 ……時には、希望を見出すのもいいものね。


ピザ娘のマリア
 ねえ、旅人さん。賢者トーテムに、大声で話すのをやめるよう頼んでくれないかな?
 トーテムのことは好きだけど、生体のコントロールが必要だと思うわ。


ピザ娘のマリア
 私にとって、地質学の研究が情熱の対象になったけど、ピザの配達は不変の真の愛ってところね。
 どんな人がピザを注文するか知ってる? ありとあらゆる人たちよ。

 弱者やホームレスから、王国トップの力を誇る河の守人まで、
 ピザを欲しがらない人なんていないわ。

 レメクが好きなのは、マッシュルームをのせたミートピザ。
 エノクはパイナップルのトッピングが好きね。
 ナアマは常にベジタリアンピザだし、イラドはシンプルなペパロニピザを好むわ。
 トバルには決まった好みはなくて、その時によって注文が違う。

 何が言いたいかって言うと、私たちはみんな同じってこと。みんな幸せになりたいの。
 誰もがそれを尊重できれば、人生で起こる多くの問題が解決するのにね。


ピザ娘のマリア
 少し前に、鍛冶師が新しいベルトを作ってくれたの。
 私がボロボロのベルトを使ってるのを見かねて、プレゼントしてくれたんだよ。

 すっごく気に入っちゃった! キラキラしてるでしょ。


ピザ娘のマリア
 おっつ~…… 反応鈍くて、ごめんね。今日はだるくてしょうがないの。

 何でか知らないけど、最近すごく疲れやすいのよね。

 ピザを食べ足りないのかな……


ピザ娘のマリア
 ひっきりなしに地転が起こる場所でピザを配達するのが、どれだけ大変か分かる?
 すごくしんどい時には、そこまでする価値があるのかなって思ったものよ。

 でも、配達するたびに、自分の新たな一面を知ることができてね。
 まるで第六感が磨かれるみたいに、お客さんの居場所を追跡するのがどんどん上手くなったのよ。

 そのことに気づいたら、地転のことでグダグダ言わなくなったわ。
 根本にあるのがランダム性だけじゃなければ、次に起こることを予測できるかもしれないのに。

 何ヶ月か配達すると、私はあることに気づき始めたの。
 法則を探すべきだったのに、パターンを探していたって。

 あのね、ピザのトッピングにパターンなんてないでしょ。
 不規則にパパッとのせるけど、全部ひとつのスライスにのっけたりはしない。
 同じようにね、要塞跡でもトイレが全部同じ棟に並んだりはしないの。

 それに気づいたことが、地脈の発見につながったわ。

 地脈っていうのは地下の流れのことで、ある場所から別の場所に移動するのに使う
 巨大なポータルとつながっているの。

 それに、地転が起こっても、ポータルが連結されたままにする方法を学んだわ。
 もっと時間があれば、地転そのものについても理解できるのかな?


ピザ娘のマリア
 こんにちは。君はさ、のんびりどこかに腰かけて、自分の人生を振り返ったりすることはある?

 私はそれが好きでね、時々やるのよ。
 自分の大まかな人生を誰かが本にしたら、どんな風に見えるかって考えるの。

 でもそうするたびに、とてつもなくバカげた物語になるとしか思えなくて。
 もしそんな本を読んだら、
 「くだらない話ね。誰かに金を払って書いてもらったのかな?」って思うでしょうね。

 ……アーキテクトにピッタリの物語かもしれないわ……


ピザ娘のマリア
 マリアって悪い名前じゃないわよね?
 私ね、ずっとこの名前が大嫌いだったの。

 うちの家には、最年長の息子と娘に親の名前にちなんだ名前をつける伝統があってね。

 私の祖母の名前はマリアンナで、この人は母にミリアムって名付けた。
 で、母は私にマリアって名付けたの。

 この名前のことで、両親と何度も言い合いになったものよ。
 私、風習とか伝統とかが大嫌いだったから。

 伝統には危険な面もあるでしょ。
 時代遅れな決めごとがはびこる口実になるしね。

 ……私、はねっかえりだったんだわ。

 両親のことは大好きだから、自分の名前を変えたりはしなかった。
 でも、自分に子供ができた時には、こんな風習は破るって決めてたの。

 だけど今は…… どうかしらね。
 ここの波止場で長い間過ごして、伝統も悪いものじゃないって分かったの。

 もしかしたら、私が熱くなりすぎてたのかもね……

 ……それに、名前を考えるのって難しいでしょ!



ピザ娘のマリア
 あっ、どーも。今ね、あの橋で過ごした時のことをまた考えてたの。
 何日もピザ屋から出られなくなってた時、これこそ人生最悪の時だと思ったわよ。

 でも今は、足止めを食らってよかったと思ってる。
 だって、そうじゃなきゃ私たちは出会ってなかったかもしれないでしょう?


ピザ娘のマリア
 また舟に乗るの?


ピザ娘のマリア
 おっつ~。これまでずっと力になってくれたこと、お礼を言うわ。

 最後に出かけた時、農家を救出してここに来れるようにしたじゃない?
 そのうちの一人が、お礼にソウルストーンをくれたの。

 お礼なんていいって言ったんだけど、受け取ってくれってきかなくて。
 私にはあまり用のないものだけど、君ならきっと役立てられるよね!

 あの農家さんから私へ、私から君へ。感謝のリレーね。本当に、色々とありがとう!

 実は、結婚祝いにヌネトにあげるつもりだったんだけど、キンマネに先を越されちゃったから……

 ……結婚祝いがピザになっちゃうけど、それでも満足してもらえることを願うわ。



セリフ集:鍛冶屋と付術師

ローグレガシー2の一回限りのセリフ集です。
汎用セリフや日記、記憶の断片などの何度でも聞ける(読める)セリフは省略しています。
金色の扉以降のセリフはさすがに自力で見てください。




鍛冶屋のアトス
 よう、おチビちゃん。鍛冶屋開業に力を貸してくれたこと、恩に着るぜ。

 俺は売れっ子鍛冶師ってわけじゃねえけどよ、この投資はぜったいに無駄にはさせねえぜ。

 設計図がねえから作れるもんは限られてるが、俺らが手を合わせりゃ、話は別だ。
 きっと、想像もつかねえようなもんが作れるぜ!

 だって、俺には想像力ってもんがねえんだから。

 俺はアファンタシアってやつで、想像力が欠如して頭ん中でアレコレ組み立てることができねえ。
 だからよ、設計図が要るんだ。

 そこで、取引といこうじゃねえか。
 お前が設計図を手に入れて、金を払ってくれるんなら、俺がその装備を作ってやる。

 どっちにとっても、うまい話しだろ。
 俺からすれば、タダで設計図が手に入るうえに客までくるんだから、ありがてえ。

 とにかく、話はもう十分だろう。今ある在庫を見てってくれ。




付術師のヌネト
 おやまあ、子ネコちゃん! こんなゴージャスな天幕を用意してもらって、悪いねぇ!
 
 精霊の力が怖いくらいに充満してて、クラクラするよ!

 ……なんてね、冗談、冗談! 値札が目に入ったもんでついね(まったく、ケチだね)。
 あたしがクラクラしてるのは、洗剤をたっぷり使ったから、その匂いのせいさ。

 ……もっといいものを用意してくれても良かっただろうに。

 まあ、もらっておいてとやかく言うもんじゃないね。
 だからあたしはもう、貧乏とはおさらばすることに決めたよ!

 さあ、正真正銘の魔法について話をしようかねと引き換えにね)!
 だってねえ、子ネコちゃん。エンチャントってのは安いもんじゃないんだよ。

 役に立ちそうなルーンストーンを見つけてくれれば、夢のような力を授けてあげるよ!
 敵から生命力を奪ったり、磁力の力を身に付けたりね!

 ……まあ、今のところはそれくらいかね。
 あとは…… 子ネコちゃん、あんたがルーンストーンを持ってきてくれたらの話さ!



鍛冶屋のアトス
 ごうごうと燃えさかる炉ほどいいもんはねえぞ、おチビちゃん。

 石炭に、溶けた鉄に、汗…… 思い出を掻き立てる匂いだ。

 ……まあ、白状しちまうと、体に悪そうな匂いでもあるがな。


鍛冶屋のアトス
 ずっと鍛冶師をやってきた。
 初めてハンマーを手にした瞬間に、これが俺の生きがいになるって分かったんだ。

 中には、俺に同情する人もいる。毎日毎日おんなじことばっかやって人生を過ごすなんてってな。

 だがよ、俺は運がいい方だぜ。
 だって、一生かけて人生の目的を探しても、結局見つからねえ奴はわんさかいるんだからな。

 ……探すばっかで、本腰を入れようとしねえからさ……

 まあ、俺が言いてえのはこれだ……
 おチビちゃん、買う気があるのかねえのか、どっちなんだ?


鍛冶屋のアトス
 ようおチビちゃん。お出かけか?
 石に“カジ”りついてでも、買い物はじっくりやれよ。にわ“カジ”込みは怪我の元だぞ。

 気に入ったか? 鍛冶屋仕込みの力ずくジョークだ。

 ……冗談はさておき、何か買った方がいいぞ。


鍛冶屋のアトス
 言葉と鍛冶物の共通点が何か分かるか?
 どっちも使うものだ。鍛えられるし、年を経るにつれ作り変えられ、新たなものに生まれ変わる。

 お前のその防具はどうか?
 いつの日か、解体され、溶解され、別のものに作り変えられるだろう。
 今から百年後には、その剣は巨大なスプーンになってるかもな。

 言葉も同じ変革プロセスを経る。
 普段の会話で使われることで言葉は新たな意味を吸収して、
 まったく別の意味に変化することもよくある。

 ……何知ったかぶりしてんだ、俺は。これはな、テムからの受け売りだ。


鍛冶屋のアトス
 いいか、俺は単なる鍛冶師じゃねえぞ。

 防具や農具や剣のような、大きいものを作るのが得意だが、銀細工の修行だって積んでる。
 指輪とか、細々とした道具とか、エッチングとか。

 俺にとって、鍛冶ってのは単なる労働じゃねえ。命の源だ。
 何を作るんだろうと、これ以上ないくらい丁寧にやってんだ。

 ……だから、価格のことで苦情を言うのはよしてくれ。


付術師のヌネト
 あら、子ネコちゃん。また会えて嬉しいよ。
 あんただと気づいたからって、驚かなくていい。普通のことさ。
 体は違っても、中身は同じだからね。

 十分長生きすりゃ、あんたも単なる姿かたち以上のことも見れるようになるさ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん! さあ座って、あたしと一緒にシャーイ・コシャリーを飲んでおいき。
 モーニングティーは、最も素晴らしい習慣のひとつさ。これを欠かすなんて、もってのほかだよ。

 あたしは、砂糖をどっさり、ミントもどっさり入れるのが好きだね。

 ……ホント、どっさりとね。

 ……茶よりも砂糖の方が多いかもってほどさ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん、あんた、ラムのファッタは好きかい?
 子羊とニンニク、米、トマト、他にも美味しいものがいっぱい入ってるよ!

 あたしの大好物のひとつだから、おかわりを遠慮したりするんじゃないよ。

 ……ホントだからね。たんとお食べ。
 自分がちっちゃいってことをすっかり忘れて、作りすぎてしまったんだからさ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん、こんなルーンは単なるお飾りみたいなものさ。
 すご~く良いものが欲しいんなら、すご~く良いものをくれないとね。

 つまり、あたしは赤エーテルが欲しいって言ってるのさ……
 ……これがあれば、永遠に生きることだってできるからね!

 で、その代わりにあんたは、ルーンの重ねがけを得られる。

 ……ルーンの重ねがけってのはね、あんたが思ってるより複雑なものなんだよ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん、不思議に思ったことはないかい?
 波止場は水辺のすぐそばなのに、ここにあるものは何ひとつ濡れてやしない。

 ……下にあるのは、水のように見えるだけで、実は水じゃない。

 決して潜ろうなんて思うんじゃないよ。猛毒だからね。
 それに、浮くはずのものが浮かないんだ。
 いくつか物を捨てたことがあるんだけど、どれも沈んじゃったんだよ。

 ……なのに何で、生きた金庫は浮かんでいられるんだろうね?


付術師のヌネト
 トーテムにコフタを作ってあげたんだけど、トーテムって、ものを食べないみたいだね。

 ……ホント、不思議よねえ。だって、生きた金庫は普通にモリモリ食べるのに。

 ……それはそうと、残り物のコフタ、いらない?


付術師のヌネト
 お腹空いてないかい、子ネコちゃん?

 あんたのために、オムアリを焼いたんだよ。
 アツアツの内に食べるのが一番だから、今すぐ食べてちょうだい。

 あたしの大好物のお菓子だから、もしいらないんなら、返しておくれよ。


鍛冶屋のアトス
 そこにいる付術師と話をしたぞ。お前の友達なんだろ。まったく、よく喋る人だ。

 銀のように愛らしいが、とにかく喋りまくる。

 アーキテクトが話してる時に、あの人が口を挟まずに大人しく座ってられるか、見ものだな。


鍛冶屋のアトス
 昨日、付術師のところにあるクリスタルの街灯柱を直したんだ。
 簡単だったさ。ボルトとナットを締めて、一時間もしねえ内に終わった。

 付術師といくらか喋ったよ。まあ、悪くはねえな。

 ……それはそうと、街灯柱の蝶番が緩んでたのは、誰かがあれを蹴ってるからなんだ。

 ……お前が蹴りてえんなら、これからもそうしてくれてかまわねえぞ。
 ちゃんと直せてるか確認できるからな。助かるんだよ。


付術師のヌネト
 あたしね、隣に住んでる人が気になってるんだよ。
 街灯柱を直してくれたから、お礼をしたいんだけどね。

 子ネコちゃんさ、あの人が…… その…… 美味しい食べ物が好きか知ってたりしない?

 フールをご馳走したいんだけど、もしあの人がガサツな味覚の持ち主なら、ビックリするでしょ。
 それも嫌だしね。

 それとも、もっとありきたりな食べ物を作った方がいいのかね?
 あんたたちのような、庶民が喜んで食べるやつさ。

 何て名前だったっけ? ……ハンブァーグァー?


鍛冶屋のアトス
 おチビちゃん、ちょっと相談にのってくれよ。お前の友達のあの付術師のことだが。
 夕食を一緒にしないかって聞かれたんだ。

 何を着ればいいんだ? 俺が持ってる服なんて、このエプロンぐらいのもんだぞ。

 ……それでもいいと思うか?

 ……上半身裸の方がいいだろうか?
 夕食って、こんな気疲れするもんだったっけな。


付術師のヌネト
 ごきげんよう、子ネコちゃん!
 昨日、あの巨体の鍛冶師とディナーをしたからさ、そのことを誰かに話したかったんだよ!

 はじめはね、あんまりいい感じじゃなかったのさ。
 あの人、煤の匂いがするし、鍛冶屋のエプロンをして来るし……

 それに、まだ料理の最中だったから、あたしもエプロンをしててさ!

 初ディナーでペアルックなんてねえ……

 でもね、ディナーは思ってたより楽しかったよ!

 装備を作るのと、ルーンを作るのには、共通点が色々あってね。
 そうさ、あたしたちは作るものは違うけど、基本的なところは似てるんだ。
 それに、商売に対して同じような情熱を抱いてるしね。

 そういうことを他人と話せるなんて、新鮮だったよ。
 情熱を持ってる男の人って、すごくステキじゃないかい!

 ……それに、あのエプロン姿もかなりハンサムだしね。


鍛冶屋のアトス
 おチビちゃん、人生って面白いと思わねえか?
 俺の人生は山あり谷ありでよ、一からやり直そうと思ってここに来たんだ。

 独りになる時間がほしくてな。

 だが、あの付術師は大したご婦人だ。こんな気持ちになったのは、久しぶりだよ。
 今の俺に必要なのは、実は孤独じゃねえのかもな。

 それに、あの人は料理の腕もかなりのものだ!
 あんなエキゾチックな料理はこれまで食ったことがねえ。
 あの人の作るフール・ミダミスは、絶品だぞ。

 ……だが正直言うと、あの人が作る「ハンブァーグァー」ってやつが一番好きなんだがな。


鍛冶屋のアトス
 おや、おチビちゃん。また出かけるのか?
 なら、気をつけて行ってくるんだぞ。

 俺はよ、お前のことが気に入ってんだ。だから無事に戻って来いよ、いいな?


鍛冶屋のアトス
 俺はよ、いつだって弟子を探してる。命がけの生活に疲れたなら、うちに来りゃいい。

 お前はちっちぇえし、腕だって細っこいが、お利口さんだからな。

 俺に言わせりゃ、学ぶことほど幸せなもんはねえぜ。


付術師のヌネト
 こんにちは、子ネコちゃん!
 ひどい夢を見たよ。食べ物を食べる必要がないって賢者トーテムが言ってたのは嘘で、
 実はただあたしの料理が嫌いなだけだったって夢さ……
 だからねぇ、今日コフタを作って、キンマネに差し入れしてみたのさ。

 ……で、早い話が、キンマネも食事をとらないんだって……

 ……そんなわけで、コフタいらないかい?


鍛冶屋のアトス
 俺の人生の目標は、いつの日か「名匠」の称号を獲得することだ。

 これはな、あらゆる工芸において優れた技能をもつ者に与えられるんだ。
 鍛冶とか、銀細工とか、革工芸とかな。

 ……革工芸のことは牛加工芸と呼ぶべきだと俺は思ってるが。

 本物の名称になるには、設計図に頼らず自分の頭で造れなきゃならねえ。

 だからよ、想像力の欠如のせいで、俺は最終考査を通ったことがねえんだ。

 俺はもう若くはねえが、そんな俺ですら古臭い慣習だと思うぜ。
 自尊心のある鍛冶師は、信頼のおける設計図なしに仕事に取りかかったりはしねえもんだ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん、あんた、ちゃんと眠れてるのかい?
 あんたの目ときたら、まるで深淵につながるうつろな穴みたいじゃないか。
 あたしもね、昔は不眠に悩まされたもんだよ。

 朝起きた時の方が、寝る前よりも疲れてたこともあったくらい。

 後になって分かったんだけど、睡眠時無呼吸症候群のせいだったのさ。
 睡眠不足はお肌の大敵なのにねえ。
 成長期にあまり大きくならなかったのも、きっと無呼吸が原因に違いないよ!

 まあ、百聞は一見に如かずってね。
 あんたも睡眠習慣を直さないと、あたしみたいに永遠に小さいままになるんだからね!


鍛冶屋のアトス
 俺は名匠じゃねえかもしれねえが、お前が使ってるどの武器も愛情を込めて丹念に造った。

 剣の製造には多くの工程を要するが、中でも強靭な心金を鍛造することが最も重要なんだ。

 刃が硬すぎると、振った瞬間に砕けちまう。
 だが刃が柔らかすぎると、最初の攻撃で変形しちまう。

 いい刃は曲がり、悪い刃は壊れるもんだってことを覚えとけ。


鍛冶屋のアトス
 浮き輪の上に乗っかってる金庫と喋ったことはあるか? ありゃ、一体何でできてるんだろうな?
 ずーっと水に浸かりっぱなしなのに、ちっとも錆びねえんだぜ。

 欠片を採取できねえかなあ。


付術師のヌネト
 まだちゃんと眠れないのかい、子ネコちゃん?
 じゃあさ、枕の素晴らしさを教えてあげるよ!

 体が快適だと、心も寛げる。質のいい枕があれば、人生が変わるんだ。

 あたしの人生は変わったし、あの日々とは永遠におさらばさ(粗悪な枕の日々とはね)


鍛冶屋のアトス
 おいおチビちゃん、お前、何かいいレシピは知らねえか?

 ここんとこ、ずっと付術師に料理を作ってもらってるからよ……
 お返しに俺も作るべきだって思うんだが、料理はからきしダメでな。

 それに台所もねえからよ、870度の炉で焼きを入れるのにもってこいの料理がいいんだが。


付術師のヌネト
 ほとんどの人たちは、枕なんて休むためだけのものだと思ってる。
 でもあたしはね、色んな場面で枕を活用してるよ!
 寝る時、座る時、それに何かを支えるのにも、装飾としてもね……

 ……走る時には平べったい枕を使ってるくらいさ!

 あまりにも長い間座ってると、脚がムズムズすることがあってね。
 そんな時に、枕の上を走るんだよ!

 運動が必要だけど、実際にどこかに行くのはちょっと……って時にピッタリなのさ。


鍛冶屋のアトス
 アーキテクトのじいさんは、何歳なんだろうな?
 俺はもうすぐ百歳だけどよ、あのじいさんは一万歳はいってそうだよな。


鍛冶屋のアトス
 また冷やかしに店をのぞいてるだけか?

 言っとくが、客がいねえと商品は作れねえんだぞ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん! 枕ばなしに花を咲かせに来たのかい?
 そうねぇ、あたしは、無呼吸の改善のために特殊な枕を使ってるよ。
 これまでに何百もの枕を使ってきて、ひとつだけすごく気に入ったのがあってね。

 くさび型っぽくてね、首や上半身を高くするのに使うのさ。
 でも毎晩同じ姿勢で寝るのは良くないから、別のも使ってバリエーションをつけてるんだよ。

 だからね、いくらあたしがものすごい数の枕をもっていようと、
 あんたにはひとつだってあげられないのさ。


鍛冶屋のアトス
 ここんとこ、ピザ娘を鍛冶屋で寝泊まりさせてんだ。
 ここの奥には、風通しのいい空き部屋があるからよ。

 とは言っても、埃っぽいがな。

 いい同居人だぜ。静かだし、掃除を手伝ってくれるし。

 ……こっそり炉でピザを焼いてる気もするがな。

 困ったことだと思わなくもないが、俺もピザは好物なんだ。


鍛冶屋のアトス
 おチビちゃん、まだ外に用事があるのか?

 いや、俺はただ、今も弟子を募集中だって言いたいだけさ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん、あんたさ、ピザのお嬢ちゃんと話したことはあるかい?
 すごく魅力的な子だよ。魂も、まぶしいくらいにキラッキラしてる。
 あの子には、何かすごく特別なものを感じるんだ。あの子のピザの話じゃないよ。

 信用できる子だって感じがする。

 ピザの配達人にはもったいないくらいの、カリスマをもったお嬢さんさ!


鍛冶屋のアトス
 おいおチビちゃん、お前、もっと肉を食った方がいいぞ。

 たまには、うちに飯を食いに来い。
 ヌネトはほっぺが落ちそうなシチューを作れるし、俺だって、真っ黒に焦げた肉を作れるぞ。


鍛冶屋のアトス
 おいおチビちゃん、ヌネトのために鋼の枕を作ったんだが…… どう思う?

 できるだけ柔らかくはしたが、それでもまだとんでもなく硬くてよ。

 ……はっきり言って、
 お前がピンチに陥った時に、武器として使えるんじゃねえかってほどガチガチなんだ。


付術師のヌネト
 うぅぅぅ…… くぅぅぅ……

 こんにちは、子ネコちゃん。

 今日は、起き上がるのは勘弁してちょうだい。
 昨日、金属でできた枕で寝たらさ、首が痛くてたまらなくなったんだ。

 あの大きな人をガッカリさせたくはないけど、自分の枕を使うことにするよ。
 数え切れないほどもってるしね。


鍛冶屋のアトス
 ヌネトのために枕を作ったって言ったろ? あれはひどいアイデアだった。
 あれで寝たヌネトが、背中を痛めちまったんだ。

 あの人は柔らけえものが好きだが、俺は鍛冶師だ。硬い物しか作れねえ。
 だが、大切な人に何か作ろうって時に、自分流を押し付けてばかりじゃいけねえよな。
 もっと相手の身になってみねえあとな。

 ったく、鋼の枕なんて…… 俺は一体何考えてたんだ?


鍛冶屋のアトス
 ここの後ろにでっけえ木の柱があるだろ。
 あれがぐらついてたから、補強しておいた。
 だからよ、大暴れしてえんなら好きなだけやってくれって、キンマネに伝えといてくれよ。


鍛冶屋のアトス
 おいおチビちゃん、これからも頑張ってくれよ。いいな?

 地下での生活も悪くねえって思ってたんだが、
 「名匠」の称号取得試験をもう一度受けたくなってよ。

 想像力の欠如のことは、ヌネトが力になってくれてる。
 細々としたことだが、想像力を働かせるために色々手伝ってくれてんだ。

 上手くいってるかは分からねえが、支えてくれる人がいるってだけで、
 もう一度やってみようって気になるな。


付術師のヌネト
 何であたしがあんたを「子ネコちゃん」って呼ぶか知ってるかい?
 それはね、あんたが放ってるオーラのせいさ。
 そのオーラがあんたをコロコロのモフモフに見せてるんだ。子ネコちゃんみたいにね。

 それに、あんたは小っちゃくてかわいいしね!


付術師のヌネト
 こんにちは、子ネコちゃん。舟旅のおやつに、ババガヌーシュとピタを作ってあげたよ。
 長旅で軽く食べるのにピッタリの、美味しいスナックさ。

 多めに作ったから、カロンにも分けてあげるといいよ。
 あの人、もうちょっと食べたほうがよさそうな見た目だからね。


付術師のヌネト
 悪いんだけどね、子ネコちゃん、今日はあまりお喋りをしたい気分じゃないんだ。
 昨夜は脚がムズムズムズムズして、もう頭がどうにかなりそうだったよ。

 一番中枕の上でジョギングをしたけど、効果がなくて。
 後で昼寝をしようと思ってるところさ。

 後でってのはつまり、あんたが去ったらってこと。
 だって、うちはそんなに客が来るわけじゃないからね……


鍛冶屋のアトス
 なあおチビちゃん、カロンのマントの下を見たことあるか?

 真っ黒なんだが、一度だけチラッとあいつの武器を見たことがある。

 白くぼんやりと光る、鎌みたいなやつでよ。
 この世のものとは思えない、別世界の武器って感じだったな。

 ……あれの素材を、ぜひこの手で触れてみてえもんだ。


鍛冶屋のアトス
 よう、おチビちゃん。すまんな、今日はちょっともたついててな。

 指が思うように動かねえんだ。

 編み物を始めたら、指がえらいことになっちまってな。

 あんな柔らけえもんがこんなに難しいとは、思いもしなかった。しかも痛えったらねえ!


付術師のヌネト
 こんにちは、子ネコちゃん。かわいそうに、あたしの大事な巨人さんが指を痛めたんだ。
 リサーン・アスフールのスープで癒してあげるつもりが、つい作りすぎちゃってね。

 あの人は体が大きいから、どれくらい作ればいいのかよく分からなくて、
 たくさん残っちゃったんだ。
 だから、舟旅に持っていくといい。

 ピザ友達と、舟漕ぎ友達にも分けてあげなよ。

 チキンとパスタが入った、美味しいスープさ。
 あんたたち三人とも、きっと気に入るよ。


鍛冶屋のアトス
 編み物はちょっとお休みだ。ありゃ、大変な重労働だぜ。

 鋼の枕は失敗だったからよ、付術師のためにちゃんとした枕を作りてえんだがな。

 これまでにできたのは、このちっちゃなナプキンだけだ。
 これだって、数日がかりなんだぜ……

 ……枕だなんて、数世紀はかかっちまうかもな。


鍛冶屋のアトス
 枕作りはあきらめた。俺には難しすぎたよ。

 その代わり、ガラスのビーズを作って、ヌネトの毛布に縫い付けてやったんだ。
 あの人は、不眠に悩まされることがあってな。
 ギュッとハグしてやると気持ちが落ち着くらしいんだ。

 それで、俺が隣にいねえ時のために、このずっしり重い毛布を作ったんだ。


付術師のヌネト
 ねえ子ネコちゃん、聞いてちょうだい。あたしの大事な巨人さんはねえ、本当に優しいんだよ!
 あたしの毛布に、ガラスのビーズを縫い付けてくれたんだ。

 あの人は「荷重毛布」って呼んでるけど、こんなにステキな毛布は他にないね。
 夜中に足がムズムズしても、これを使うと治まるんだ。

 ……なんて優しい人なんだろうね。まるで巨大な子ネコちゃんじゃないかい。


付術師のヌネト
 おや、子ネコちゃん。素晴らしい一日じゃないかい!
 あの荷重毛布を使い始めてからというもの、ぐっすり眠れるようになってね!

 初めはちょっと重すぎたんだけど、ちょうどいい重さになるよう、アトスがビーズの数を
 減らしてくれたから、今じゃ大のお気に入りの毛布さ。
 アトスは、これ以上なく心優しい巨人だね!


鍛冶屋のアトス
 ここは何とも特別な土地だな、おチビちゃん。
 何の期待も抱かずにここに移り住んだが、そうして良かったと実感してる。


鍛冶屋のアトス
 なあ、おチビちゃん。
 これは秘密にするつもりだったんだが、実はヌネトにプロポーズしようと思ってたんだ。
 こっそり指輪を作ってたんだが、すぐ隣にいる人に見られねえようにするのは難しくてよ……

 「思ってた」って言ったのは、プロポーズする機会がなかったからだ。
 だって、プロポーズしねえ内に承諾してくれたからよ……

 すまんな、おチビちゃん。目に煙が入っちまったようだ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん、もう聞いたかい? あたしね、結婚するんだよ!
 アトスが私のために指輪を作ってくれてたんだけど、あたしがその意味を知ってるもんで、
 心底ビックリしててね。

 おかしいと思わないかい?
 だって、結婚指輪はあたしの故郷が発祥なのに、あの人は自分の故郷の習慣だと思ってたのさ。

 よその土地の習慣を取り入れておいて、それを自分のところのものだと思い込むなんて……

 ……何ともかわいらしいじゃないか。



付術師のヌネト
 子ネコちゃん、アトスとあたしはね、あんたを結婚式に招待したいと思ってるんだ!

 あの人は自分で招待したがってたけど、ジャンケンに勝ったのはあたしだからね。

 あの人ったら、あたしにジャンケンのルールを教えようとしたんだよ。
 おかしいと思わないかい?
 ジャンケンが自分の故郷の習慣だと思ってたようだけど……

 ……まあ、あの人の故郷でも思いついたのかもしれないね。
 ジャンケンなんて、難しい発想のものじゃないしさ。


鍛冶屋のアトス
 結婚式の正式な日取りは、まだ決めてねえ。みんながここから出れたら、やろうかと思ってる。

 「みんな」の中にはお前も入ってるからな。あまりフラフラほっつき歩いてんじゃねえぞ。

 ……式の席次をメチャクチャにされちゃかなわねえ。


鍛冶屋のアトス
 ここにいると時間の感覚がおかしくなるな、おチビちゃんよ。
 そんなに経っていねえはずなのに、初めてこの波止場に足を踏み入れてから
 ずいぶん経ったようにも感じる。

 ……俺は、鍛冶業界で取り残されちまってるんだろうか。


鍛冶屋のアトス
 よう、おチビちゃん。この調子で頑張るんだぞ!


付術師のヌネト
 指輪は、永遠の人生と愛を象徴するものだって知ってたかい?
 あたしの父がそう言ってた。
 けど、太陽と月も意味するって言ってたから、話をしながら付け足していったのかもしれないね。

 とにかく、あたしはあの見た目が大好きなのさ!


鍛冶屋のアトス
 なあ、おチビちゃん。これまでずっと、俺のおしゃべりに付き合ってくれて感謝してるぜ。

 ここに来てからってもの、俺は人としてかなり成熟した……
 人生最良のものは全部ここで始まったが、それでもここを去るのが待ちきれねえ。

 ……いつからあるのか知らねえが、ここにはソウルストーンが置いてあってよ。
 これを使って何か作ろうと思ってたんだが、どうしても溶解することができなかった。

 お前が精いっぱい頑張ってることは知ってるぜ、おチビちゃん。
 だが俺の経験から言うとな、助けがいらねえ奴なんていやしねえ。

 で、このソウルストーンだがな、俺がこれを使うことはねえし、
 お前は外で苦戦してるみたいだしよ。だから……

 ……あのな、俺が言いてえのは、幸運を祈ってるってことだ。みんな応援してるんだぜ。


付術師のヌネト
 子ネコちゃん、聞いてちょうだい。
 ここの水は猛毒だけどさ、霧には美肌効果があるんじゃないかって気がしてるんだよ。


付術師のヌネト
 ごきげんよう、子ネコちゃん!
 あんたとマリアとカロンの可愛らしいトリオのために、お弁当を作ってあげたよ。

 アトスの大好物、ハンブァーグァーさ。


付術師のヌネト
 いいかい、子ネコちゃん。あたしはいつだって、あんたのことが大好きだよ。

 誰になっていようと、あんたはあんただからね!


付術師のヌネト
 子ネコちゃん! 結婚式の招待客のひとりが、早めのお祝い品をくれたんだよ!

 ……まだ開けるべきじゃないのは分かってたけど、待ちきれなくてさ!

 それはともかく、そのお祝い品はソウルストーンの詰め合わせでね、
 あたしには使い道のないものだったのさ。

 だから、あたしと巨人さんをめぐり合わせてくれた「お礼の品」として、
 正式にこれらの石をあんたに譲りたいんだ! どういたしまして!

セリフ集:生きたダミーと賢者のトーテム

ローグレガシー2の一回限りのセリフ集です。
汎用セリフや日記、記憶の断片などの何度でも聞ける(読める)セリフは省略しています。
金色の扉以降のセリフはさすがに自力で見てください。




ダミーのレディ・キンマネ
 こ、こ、こんにちは! ここは、ステキな集落だね!

 あ、あ、あ、あたしの名前は、レディ・キンマネ。お会いできて、すごく嬉しい!

 あ、あ、あたしは生きたダミー武器にちなんだことなら、なーんでも知ってるよ!
 武器のすべてが大好きだから、何か質問があったら、き、き、き、気軽に聞いてね!

 それに、もしかしたら、こ、こ、小技も、い、いくつか、教えてあげられるかもしれないし!

 そ、そ、それと、ど、ど、どもってしまってごめんね。
 緊張すると、あ、あ、悪化しちゃうの……

 ……

 ……それくらいかな。こ、こ、これから、よろしくね!




賢者のトーテム
 刮目せよ!

 吾輩は賢者トーテム。君はいま、吾輩に結合された。

 君が持つあらゆる知識が、精霊の木である吾輩の中に蓄積されよう。

 単一の職業にてマスタリーを獲得することは、
 すべてにおける優位性を得るのと同じことである。
 知識を共有してこそ、吾輩たちは強くなれるのである。

 ……以上。

 ……なぜまだここにいる?
 長談義はおしまいだぞ。

 ……吾輩は、雑談というものが得意ではない。

 ……

 ……このような気持ちを、月曜の朝というのであろう?



賢者のトーテム
 吾輩は知識の泉である。
 これまでに、あまたの文明が起こっては滅びるのをこの目で見てきた。(原文ママ)
 我が知識は永遠であり、我が自我はとどまるところを知らない。

 この波止場では、新たな共同体が育ちつつあるようだ。
 この社会にひそかに溶け込んで、楽しむとしよう。


賢者のトーテム
 人間よ、吾輩はこの波止場で楽しいひと時を過ごさせてもらうぞ。

 ここは、研究するに値する人間や吸収するに値する文化に事欠かない、
 商業の中心地だからな。


賢者のトーテム
 ボンジュール、人間よ!

 君の世界では、このように挨拶するのが雅やかなことであるらしいな。

 ボンジョルノは、イタリック語で「こんにちは」という意味だ。


ダミーのレディ・キンマネ
 ふぅぅぅ…… あたしは、ここが好きなの。
 モ、モ、モ、モンスターさえいなくて安全なら、この波止場はとてもいい場所なのに。

 ……それに、こんがり日焼けできるし。


ダミーのレディ・キンマネ
 何日か前に、星があたしの近くを浮遊していったの。
 半透明で、なんだか長い、しょ、しょ、触手が付いていてね、とてもキレイだった。

 少なくとも、あたしはキレイだと思ったな……

 ……でもよく考えると、あれは星じゃなかった気がする。

 ……どっちにしても、じっくりは見れなかったの。
 怖かったから、し、し、し、下に降りて、隠れたんだもん。


ダミーのレディ・キンマネ
 ねえねえ…… どうやったら、ピ、ピ、ピザをもらえるのかな?

 ……食べれないけど、見るのが好きなの。


ダミーのレディ・キンマネ
 現在普及している戦闘スタイルのほとんどが、
 河の守人レメクさんによって、か、か、確立されたって知ってた?

 レメクさんは、け、剣や、斧、槍の他にも、た、た、たくさんのカッコいいものを極めたんだよ。
 レメクさんは、あたしのヒーローなの! すごく偉大な人に違いないよね!

 ……一度も会ったことはないよ。
 でも、レメクさんほど戦技を極めた人が、悪い人なわけないもん!


賢者のトーテム
 FIX UND FERTING SEIN(フィクス・ウント・フェルティヒ・ザイン)、人間!

 この言い回しを耳にしたことがあるかね?
 これは、修理して完成したという意味であるからして……

 高度な技術を用いて自らの体を増強した者が用いる言葉であると、
 我輩は信じている……

 ……そうとも ……この言い回しは、そうでなければ論理的に説明がつかない。

 ……何とも満ち足りた気持ちにさせる言い回しではないか。


賢者のトーテム
 恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ)、人間!

 大昔に誰かがそう言っているのを聞いて、我輩の永久記憶媒体に
 書き込んでおいたのだ。

 これは、「打ち上げ成功」という意味で……
 この惑星の軌道の軌跡を擬人化したがる者たちが使う言葉だ。

 ……人間とは、つくづく擬人化することを好む生き物であるな……


賢者のトーテム
 ウオォォアアウォアアアオオオアアアオオオアアオォ!

 人間よ、これは我が故郷である精霊の森で用いられる、聖なる言葉での挨拶だ。

 いや…… 今のは真っ赤な嘘だ。

 我輩の母国語は日本語である……

 我輩は他者との融合であるゆえ、自己意識というものに乏しいのだ。

 ……

 ……このようなものを、月曜の朝の気持ちというのであろう?


賢者のトーテム
 ……我輩は誰だ?

 我が命とその目的とはいったい何なのだ?

 我輩は何者かに作られたのか、それとも初めから存在してきたのか?

 …………

 実に難しい問題だ……
 我輩は完全な存在であり、どのようにして誕生したかは問題ではない。

 そうだ…… そう考えると気分が良くなった。

 早くも、我が精神の解離が治まったぞ。


賢者のトーテム
 (我が名は賢者トーテム)

 (……いや、これは我が名と部署のどちらであっただろうか?)

 ……おや、こんにちは、人間。君がいることに気が付かなかった。
 は。は。は。我輩がいま言っていたことは忘れてくれたまえ。

 ……ジョークを書いていたのだ。

 オチが……今のところ思いつかなくてな。

 ……形而上学的ホラーに面白みを感じるというのなら、話は別であるが。


ダミーのレディ・キンマネ
 こ、こ、こ、こ、こ、こ、こ、こんにちは。

 ご、ご、ご、ごめんね。今日はいつもより、ど、どもっちゃって。


ダミーのレディ・キンマネ
 あたしは日曜日が一番好き。

 他の日と変わりはないけど、ひ、ひ、ひ、響きが好きなの……

 ……に、に、日曜日っていう言葉の。


賢者のトーテム
 人間よ、君は、波止場のてっぺんにいる者の名前を知っているか?

 彼女からは、力と威光を感じるのだ。

 好奇心をそそられる。ぜひお近づきにならなければ。


賢者のトーテム
 人間よ、聞いたところによると、レディ・キンマネは日曜日が好きなのだそうだ。
 我輩も、日曜日は好ましく思っている。
 より崇高な存在である我々の好みが類似するということを、いかにして彼女に
 示せばよいだろうか?

 ……

 ……日曜日、であったな?


ダミーのレディ・キンマネ
 け、け、賢者トーテムに今日は何かするのって聞かれてね。

 な、な、な、何もしないよって、こ、こ、答えたら……

 ……ふうんって言って、どこかに行っちゃった。

 あれは、なんだったのかな?


ダミーのレディ・キンマネ
 何であたしはこんなに武器が好きなのかって、時々考えるの。
 た、た、た、戦うのは嫌いだし……

 (他人を傷つける人なんて、き、き、嫌い~)

 武器のた、た、た、単純明快なところが好きなのかな。
 たった一つの目的をもつ道具の簡潔さが。

 その使い手となるための厳しい修行とか。

 ……それに、か、か、か、カッコいいコンボも。


ダミーのレディ・キンマネ
 か、か、河の守人レメクさんは、し、しし、史上初の魔術剣士だって、知ってた?

 レメクさんが現れる前は、騎士はただ剣を振って、
 メイジはただスペルを唱えるだけだったんだよ。

 今の地位についてから、レメクさんは、み、み、みんなに、剣魔両道を教えたの。
 みんなが、す、すべてに精通してることが重要だって考えたから。
 だから現状の騎士は、剣もスペルも、両方操れるよ。
 メ、メ、メイジはどうしたのかって?

 ……メイジは、今もスペルだけだよ。
 腕の筋力がすごく弱いから。


ダミーのレディ・キンマネ
 ひ、ひ、人によっては、ものすごく、よ、用語にこだわるよね。
 ファルシオン、ソード、エストック、サーベル。

 もちろん、どれも「別物」だけど、お、お、大騒ぎするほどのことではないと、あたしは思うよ。

 も、も、もっと多くの人たちが、武器を好きになってくれるようにしたいよね!
 細かいことは、その後でもいいじゃない!

 趣味で始めたばかりの人に押し付けるのって、違うよね。
 うんちくは、熱心なファンに任せておけばいいよね!


賢者のトーテム
 人間よ。我輩は、レディ・キンマネとデートをしてきたぞ。
 滞りなく完璧に進行し、10秒以内に完了させることができた。

 おそらく、世界記録を更新したのではないだろうか。
 この手際の良さには、我ながらまたもや感心させられた。


賢者のトーテム
 人間よ。我輩は、レディ・キンマネと話をしてきた。
 彼女は、我々がデートしたということにすら気づいていなかった。

 我輩のデートのスピードには、あれほど明敏な彼女ですら
 ついてこれなかったようだ。

 デートの速度を再考しなければならないな。
 おそらく、持続時間を延長するのが妥当であろう。


賢者のトーテム
 「ずっと、独りぼっち」。

 これは、常に孤独であり続けることを意味する言葉だ。

 我輩の未来を要約する、実に強烈な言葉じゃないか。

 ……ずっと……独りぼっち。


賢者のトーテム
 人間よ。我輩は、我と同じくらい古くからこの世界に存在していると思しき者を
 発見したぞ。

 彼の知識を得て、我が知識を補完するつもりだ。

 彼の永遠の年齢をもってすれば、レディ・キンマネに対する理解を深めることも
 可能であろう。


ダミーのレディ・キンマネ
 さ、さ、最近、マリアとよく話すの。
 マリアって、す、す、すごく優しいね。

 連れてきてくれて、ありがとう!

 それとね、隠そうとしてるけど、マリアは武器に詳しいんだよ!

 ……か、か、カッコいいよね。


ダミーのレディ・キンマネ
 こんにちは。
 マ、マ、マリアに、賢者トーテムとのデートはどうだったか聞かれたの。

 ……デ、デデ、デートをしてたなんてことすら、知らなかったよ!

 トーテムは、す、す、すごく優しいけど、あたしよりも変わってるでしょ……

 (……自分がこんなことを言うなんてビックリ)

 ……きちんと、お誘いしてみようかな。 (二度目の初デート?)
 (誰かを誘うなんて、初めて…… ドキドキ)


賢者のトーテム
 人間よ。かの高名なレディ・キンマネが、我輩との食事を承諾してくれた。

 なんとも心が高鳴る出来事ではないか。

 だが人間よ、我々はどちらも食べ物など摂取しないのだ。
 ……我輩はどうしたらよいのであろうか?

 ……

 ……ランチ、であるな?


ダミーのレディ・キンマネ
 二度目のデートは、う、う、う、うまくいったよ!
 付術師さんは、い、いい人で、あたしたちに手料理をごちそうしてくれたの。

 あたしも賢者トーテムも食べられないけれど、料理は、お、お、おいしそうだったよ。
 (残った分はマリアにあげたの)

 賢者トーテムってとても賢いの。と、と、遠くの土地のことや、そこの文化について話したよ。

 知識が豊富なトーテムが話すと、何でもものすごく面白く聞こえるの!

 それに、よその文化のぶ、ぶ、武器や、せ、せ、戦闘スタイルについても、
 たくさん教えてもらっちゃった!


賢者のトーテム
 レディ・キンマネが、我々の逢瀬がデートであったと認知してくれた。

 デートは成功裏に終わった。

 我が生涯も成功である。

 さらに我々は、宿無しの女子に残った食べ物を与えることにも成功した。

 慈善活動も成功である。


賢者のトーテム
 GOD NATT(ゴ・ナット)!

 これは、「お休み」という意味であるぞ、人間よ。

 とはいえ、永遠に日が照っているこの地においては、無用な言葉であるな。


ダミーのレディ・キンマネ
 ……ごめんね、ちょっとぼんやりしてたの。
 最近、あ、あ、頭に霧がかかったみたいな感じで。

 ……け、け、賢者トーテムと過ごすことが多くなって、ソワソワ落ち着かないの。


ダミーのレディ・キンマネ
 この前、賢者トーテムのことを「テム」って呼んだら、それは何かって聞かれたの。
 これまで一度もニックネームを付けられたことがないから、ビックリしたみたい。

 せ、せ、説明してあげたらね、すごく気に入ってくれたよ!

 ちょっと気に入りすぎかなってくらい。

 ……だって、ずっと繰り返し言ってるんだもん。


ダミーのレディ・キンマネ
 時々、ア、ア、アーキテクトがここに来て、お話を聞かせてくれるよ。

 変わったお話だし、長いよね。

 ……それに、戦闘シーンがないの! 登場人物はみんな賢すぎるし!


ダミーのレディ・キンマネ
 こんにちは! 何か違うことに気づいた?

 考える時間をあげるから、当ててみて!

 ……

 あ、待って。あたしが喋らないと、当てようがないんだった。

 あのね、どもりが治ったの!

 て言っても、完璧にではないけど。でも、どもる回数が、す、す、少なく…… あっ!


ダミーのレディ・キンマネ
 ゆっくり考えながら意識を集中して話すようにしたら、あんまりどもらなくなったの。

 でも、どうしてもどもりがちな言葉があるから、気をつけなきゃ。
 あいうえおで始まる言葉とか…… さ行とかの、こ、こ、言葉がね。
 (あっ、「こ」で始まる言葉も……)

 ずっとね、テムがこっそり手伝ってくれてたの!
 すごいでしょう? だって、テムは実は言語学の専門家で、しかもポリグロットなの。

 ……ポリグロットって何だったっけ?

 わ、わ、忘れちゃった。


賢者トーテムのテム
 人間よ。レディ・キンマネが、我輩にこれ以上なく神聖な名前を授けてくれた。

 いま我輩は、「テム」として知られている。
 この新たな名前は、永遠に用いられるであろう。

 これにより、我輩に対する君の畏敬の念も尽きることなく続くであろう。


ダミーのレディ・キンマネ
 ねえ、知ってた? あたしたちはね、頭の中で文章を組み立てなくても喋れるんだよ。

 話すのってあまりにも自然なことだから、すごい速さでどんどん喋れるの。

 どもりを治すために、伝える内容を意識するよう練習しててね……
 話す前に次の文章を頭の中で考えるようにしてるんだよ。

 だから、話すのが前よりちょっとゆっくりになったけど、
 でも今の方が意味のあることを言ってるって思うの。

 もしあなたがどもりで悩んでいなくても、ぜひ試してみて。おススメだから。
 とても楽しいし、より有意義な会話ができると思うの。

 意識して話すのが難しくなる時がひとつだけあってね、
 それは、あたしがぶ、ぶ、武器について話す時……

 ……うわーん、ぶ、ぶ、武器のことを、か、かか、考えただけで、あ、あ、頭がカーッて……!


賢者トーテムのテム
 人間よ。
 やんごとなきレディ・キンマネが、我が認識に誤りがあることを示してくれた。

 過去に対する我輩の執着は、思考の欠陥であったのだ。
 過去は、現在の我輩が何者であるかを決定づけるものではない。

 我輩が、どのような目的のもとにどのように誕生したかは問題ではないのだ。

 我輩はテムである。今は無論、未来永劫に。


ダミーのレディ・キンマネ
 あたしのお気に入りの河の守人は、誰でしょう?

 ふたり挙げるとしたら、それはね、レメクさんとイラドさんだよ。

 河の守人レメクさんは、つ、強くて荒っぽいの。
 全兵士に訓練を施したし、あらゆる戦闘技術の達人なんだよ。

 河の守人イラドさんの方はって言うと、頭脳明晰な戦略家だよ。

 イラドさんは国王の次に偉くて、全国王軍の大将なの。

 ……誰か、レメクさんとイラドさんのフィギュアを作ってくれないかなあ。


ダミーのレディ・キンマネ
 ここのところずっとテムとたくさん話しててね、
 ここを出たら世界を一緒に旅しようって言われたから、オッケーしたの。

 あたしは、波止場のこの場所が好きなんだけどな。
 だって、全部成り行きに任せて、のんびりリラックスできるでしょ。

 でも、あたしがどれだけ多くのことを見逃してきたか、テムが教えてくれたの。

 外のせ、せ、世界って、お、お、面白そうだし、見逃したくないな!


賢者トーテムのテム
 我輩は、我が存在をもってこの波止場を麗しく飾る選択をしたことを
 喜ばしく思っている。

 この上なく優れた洞察であったことが、証明された。


ダミーのレディ・キンマネ
 ボンジョルノ! ステキな一日だね!

 「こんにちは」を、いろんな言語でどう言うのか、トーテムが教えてくれてるの。
 ボンジョルノはね、イタリック語っていう言語なんだって。


賢者トーテムのテム
 人間よ。我輩は、我が名であるテムという名称について調べ、
 この言語には語源的な由来が皆無であることを発見した。

 我輩は、完全に固有の存在なのである。
 我輩の前に「テム」という名をもつ者はおらず、この先も現れないであろう。

 これぞ、完璧な名前である。


ダミーのレディ・キンマネ
 河の守人イラドさんは、「智将」として有名なんだよ。知ってた?
 あ、あ、あらゆる本に載ってるくらいなの!

 でもね、それを読むと、もやもやした気分になるよ。
 誰もがイラドさんの戦略を称賛するけど、でも、兵士だってすごいよね?
 だってそもそも、河の守人レメクさんが鍛えた兵士たちがいたのが、
 イラドさんの戦略がうまくいった理由なのに!

 ……戦功は、は、はは、半分こにすべきだと思うな。


賢者トーテムのテム
 鍛冶師が、我輩のためにこのピンを作ってくれたのだ。君はどう思うね?
 これは殺傷装置の形状をしている。

 誰よりも尊敬に値するレディ・キンマネなら、このような小さく愛らしい
 見た目の殺傷装置を称賛するであろうと信じている。


ダミーのレディ・キンマネ
 生きた金庫のアッティコスに、投資をするよう言われたの。

 ……でも、お金なんてもってない……

 お金をくれないかな?


ダミーのレディ・キンマネ
 どもりを治すために、毎晩本の朗読をしてるの。
 どもったら、少し速度を落として、その文章をもう一度読むんだよ。

 たくさん読むほど、早く読めるようになってきたの。
 後戻りしているような気がしてもどかしくなることもあるけど、少なくとも今も読めてるもんね。

 ……いつもはテムが隣にいてくれるの。そのことも、すごく嬉しくて。


賢者トーテムのテム
 おっつ~!

 これは、自分の話をしたい時に、ある女子が別の女子にする声かけである。
 少なくとも、そうだと聞いている。

 人間よ、君は女子であるのか?
 我輩にはよく分からない。まあ、どちらでもよいのだが。


ダミーのレディ・キンマネ
 テムが、また一晩一緒に過ごしてくれたの。
 とてもステキな夜だったなあ……

 あたしたちが出会えるようにしてくれて、ありがとう。
 テムと一緒だと、毎日が色づいたように面白いの。


賢者トーテムのテム
 人間よ。我輩は、尊敬してやまないレディ・キンマネの吃音が軽快するよう、
 力になっている。

 彼女は今のままですでに完璧であるため、ありのままの彼女に何らかの変更を
 加えることで、不完全さを生み出す結果につながりはしないだろうか。

 ……我輩はジレンマに陥っているのだ。


ダミーのレディ・キンマネ
 こんにちは! 今日はカッコいいね!

 訓練をしに来たの?


賢者トーテムのテム
 人間よ。
 もし仮にレディ・キンマネがどもったとしても、とがめたりしないでくれたまえ。
 その代わり、どもらなかった時には褒めてあげてほしいのだ。

 正の強化は、相手に改善の意欲を起こさせる。
 を与えると、それが与えられた状況を避けるようになる。

 ……もしレディ・キンマネが喋らなくなってしまったら、
 人間よ、我輩は君の責任であるとみなすぞ。


ダミーのレディ・キンマネ
 また来てくれたのね!
 昨日ね、ヌネトにあげようと思って料理の本を探していたら、ソウルストーンを見つけたの。
 すごくキレイでしょ。

 ……全部ヌネトにあげたと思ってたんだけど(プレゼントとして)
 でもソファーの後ろにまだたくさん残ってて……

 うーん…… 残りのソウルストーン、いらない?


賢者トーテムのテム
 「レディ・キンマネ」という名前も、この名前より前から存在している
 他の言葉とは語源的なつながりがない。
 しかしながら、彼女の名前は「金」と「マネー」を連想させる。貨幣は創造性の
 象徴であり、金からさまざまなものが作られたのは言うまでもない。

 彼女の名前は、作り出すものにちなんでいる。
 そして今度は、彼女が我輩の自我を作った。

 人間よ、命あるものとは、これほどまでに詩的であるものなのか?

 ……それとも、我輩が拡大解釈しているのだろうか?

 我輩には、詩というものが理解できないのだ。


賢者トーテムのテム
 陽はさんさんと輝いている。良い一日だな、人間よ。


賢者トーテムのテム
 人間よ。

 レディ・キンマネとの懇親に手を貸してくれたお礼として、これらの
 ソウルストーンを君に進呈しよう。

 我輩は、求愛過程の一環として彼女にこの石を譲り、そして彼女は花嫁付添人の
 一環としてこの石をヌネトに譲った……

 そしていま我輩は、友情の一環としてこの石を君に譲るのだ。

 これを受け取ってこの場を去ることにより、謝意を表明してくれたまえ。

 我輩は、お礼を進呈した後の適切な社交辞令というものを知らないうえ、
 雑談というものが理解できないのだ……

 ……

 ……月曜の朝の気持ち、であると思わないか?

セリフ集:アーキテクトと生きた金庫

ローグレガシー2の一回限りのセリフ集です。
汎用セリフや日記、記憶の断片などの何度でも聞ける(読める)セリフは省略しています。
金色の扉以降のセリフはさすがに自力で見てください。




アーキテクトのノア
 おやおや、これはこれは。
 若者よぉ、ごきげんよう! ワシと話しに来たのかね? この老人とぉ?

 年寄りを邪険にしないのは、いい心がけだ。
 ワシらは、若者と分かち合える知恵をたーっぷり持っとるからな。
 いろーんな物語も知っとるぞう。

 こりゃこりゃ、ワシとしたことが、つい先走ってしまった。自己紹介すらしとらんかったわい!

 ワシの名前は、「じいちゃん」。特性は、年寄りだ! お前さんのことは……
 「若者」と呼ぶことにしよう。だってお前さんの特性は、過去がないことだからなぁ。

 だが、それについてはワシがどうにかしてやれるぞ。
 お前さんが、喉から手が出そうなほど欲しがっとる、成果というやつを得る手助けをしてやれる。

 このドリルが見えるか?
 これを使ってダンジョンを固定すれば、あちこち入れ替わるのを防ぐことができるんだ。

 そうすれば、これまで調べられなかったところも隅々まで見て回れるようになるし、
 倒せなかった敵に再び挑むこともできる。英雄になって、自分の物語を作り放題だぞぉ!

 もちろん、ドリルを使うには、じいちゃんの探知手数料がいるがな。

 何でタダでやってくれないんだって? だって、ワシはじいちゃんだからだぁ。
 おバカちゃんでも、太っ腹ちゃんでもない。




生きた金庫のアッティコス
 おーい…… おぉーい!
 やあ、友よ。こっちだ。

 ボクだよ、君の友人の、生きた金庫さ。
 君がここに来たのは、アレが欲しいからなんだろう?
 だって、君、ボクなら提供してあげられるからね。

 ボクが言ってるのは、税金の抜け穴のことさ。
 まったくまったく、ボクはね、抜け穴の中の抜け穴の、穴という穴を知り尽くしてるんだ。

 会計士のボクがちょっと魔法を使えば、死神からゴールドを引き出すことだってお安いご用さ。

 友よ、それが財テクの秘訣だよ。
 どんだけ金を稼ぐかじゃなく、どれだけキープするかが重要なんだ。
 で、もちろん、ボクたちはぜーんぶキープする。

 もしくは、少なくとも数パーセントね。



アーキテクトのノア
 若者よぉ、ワシの話を聞きに戻ってきたのかね?
 ワシは昔は吟遊詩人でな、寓話か実話かを問わず、さまざまな物語を語ったもんだぁ。

 有名だったんだぞぉ! 大陸の隅々にまで知れ渡っとった。
 「最悪な話を聞かせるヤツ」ってな。

 才能はなかったかもしれんが、有名人だったのは確かだぞぉ!


生きた金庫のアッティコス
 おーい!
 友よ、こっち、こっち。ボクだよ、生きた金庫さ!
 ……まさかボクが生きてるなんて、思いもしなかったんだろ?
 いいってことよ、ボクは、その気になればものすごく静かにできるからね。

 ただ、君の「投資」はどんな具合かなって思っただけさ。
 うまくいってる? 十分な見返りは得られてる?

 へええええ…… それならプロに任せてくれよ!

 金額が増えることほど気分がいいものはない。そうだろ?

 スリル満点なことが好きな人もいれば、慈善事業から喜びを得る人もいる。
 けど僕はね、数字が上がっていくのを見ると、キタキタ~って思うね!

 ボクに任してくれ、友よ…… しっかりやるからさ!


生きた金庫のアッティコス
 おーい!
 なあ、友よ。いくつか助言してやろうか?

 今いくら貯まってるかなんて、気にしすぎる必要はない。
 今は上げ相場なんだ。金を作るには、じゃんじゃん使わないと。

 君の屋敷をアップグレードしてくれよ。ボクに投資する前に、君自身に投資するのさ。
 ワケ分かんない? けど、これが金儲けの必勝法なんだ。ホントさ!


アーキテクトのノア
 若者よぉ、賢いキツネの話をしてやろう。

 昔々あるところに、キツネがおった。賢いキツネだ。
 そこには、農夫もおった。賢い農夫だ。

 賢いキツネは、賢い農夫の納屋に何度となく忍び込んでは、
 そこで飼育されていた賢いニワトリを食い荒らした。

 分かるかね、ニワトリも賢かったんだ。ただ、食われないようにするほど賢くはなかった。
 それに、この物語に大きくかかわるほど賢くもない。

 とにかく、ある日、賢い農夫はもう我慢ならんと思い、
 賢いキツネを捕まえるために賢い罠を仕掛けた。

 彼は賢いニワトリを賢い家の中に入れると、
 賢いキツネを捕まえるべく、賢い納屋の中に身を潜めた。

 その夜、ゆーっくり賢い納屋の中に侵入した賢いキツネは、そこで賢い農夫と鉢合わせた。
 エサにするはずだった賢いニワトリがいないため、
 賢いキツネは、賢い農夫を代わりに食べてしまった。

 おしまーい。

 このお話の教訓はな、いくら「賢い」とつけようと賢くなるわけじゃないってことだ。

 ……それにな、あまりに賢い賢い言いすぎたもんで、
 それがどんな意味だったかも忘れてしまったわい。


生きた金庫のアッティコス
 やあ、友よ。浮き輪を変えようか考えてたんだ。だってこれ、古くさいだろ?
 ボクの装飾とあまり釣り合ってない気がしないか?

 格調がないというかさ。

 星とか金貨とかの飾り付けがしてあるものなんか、いいよな。

 ダイヤモンドとか王冠もいいな……

 いや、でもなあ。

 話せば話すほど、この浮き輪に愛着がわいてきたよ。


生きた金庫のアッティコス
 友よ、ボクだってね、投資のことばかり考えてたわけじゃないんだ。
 親だったこともある。まあ、ふつうの父親さ。

 生まれたばかりの息子が、とにかくシワシワだったのを覚えているよ。
 赤ちゃんってのは、かわいくてスベスベしてて、適応性があるものだと思ってたのに。

 ……ボクの子ときたら、日光で干からびたレーズンみたいだったよ。


アーキテクトのノア
 良い話ってのは、不変だ。この王国には、良い話がひとつもない。
 これはどうにかしたほうがいいぞぉ、若者よ。


アーキテクトのノア
 若者よぉ、ウサギとカメの話は聞いたことあるか?

 昔々あるところに、ウサギとカメがおった。

 ウサギは速足カメと呼ばれており……
 カメは速足ウサギと呼ばれておった。

 速足ウサギのカメは、ものすごーく遅かった。しかも、とーんでもない年寄りだった。

 ……そりゃもう、とーんでもなくな。

 速足カメのウサギの方も、とーんでもない年寄りで、ものすごーく遅かった。

 ……そりゃもう、ものすごーくな。

 ある日、ウサギのカメとカメのウサギは外に出かけた。
 どちらもすさまじーく遅くて年寄りなもんで、ふたりはこれまで顔を合わせたことがなかった。

 すみかも近くではなかったしな。

 やがて、ウサギのカメはとーんでもなく老いてこの世を去った。
 数年後、カメのウサギもとーんでもなく老いてこの世を去った。

 おしまーい。

 このお話の教訓はな、加齢に勝てるものなどおらんということだ。

 ……ワシも、老い先短い身だよぉ。


アーキテクトのノア
 長年の人生でワシが学んだことがひとつあるとすればなぁぁ……
 それは、この世には運と才能ってものがあるということだ。
 その内のひとつだけ選べるとしたら、必ず運を選ぶんだぞぉ。


アーキテクトのノア
 若者よぉ、お前さんはピザを食べたことがあるか?

 ありゃ、うまいぞぉぉ!
 マリアが一切れくれたから、お返しをしようと思ってな。
 物語を語って楽しませたのだが、それ以来避けられとるのだ!


生きた金庫のアッティコス
 レディ・キンマネのことだけど。
 助言をあげたり技を教えたりして君の手助けをしてるのに、一度も報酬をもらってないよな?
 今は必要ないのかもしれないけど、あの子だっていつかは金が必要になる日が来る。

 ……キンマネは自分で言いはしないだろうから、君から得た金でやってる副次的投資から、
 こっそり金をためてるのさ。

 だから、もっと金を稼いでくれよな! 君は、自分が思うより多くの人たちを助けてるんだから。


生きた金庫のアッティコス
 息子が小さかった時、よく物語を聞かせてやったよ。
 困ったのは、ボクの父親がそんなことを全くしない人だったから、
 話しながら筋を考えなきゃならなかったことさ。

 即興で作った話と、どこかで聞いたことのある話をまぜこぜにしたりね。

 ボクは作家じゃないから、しょうもない話ばっかだったけど、
 息子はいつもボクが作る話の方を好んでくれたよ。

 ボクが作ったってことを知っていたからかもしれない……

 もしくは、文学的センスが悪いのか。どっちなんだろうね。
 でも、話を作るのは楽しかったよ。


アーキテクトのノア
 若い頃、ワシは色んな仕事に就いたぞぉ、若者よ。
 ウェイターや吟遊詩人をやったり、宿屋の経営者や、帳簿係や、養蜂係や、カギの保管係……
 とにかく、色んな係をやったもんだ。

 何をやっても下手っぴだったもんで、いろーんな仕事を転々としたなぁ。

 そんなんだから貧しく老いさらばえて死ぬはずだったんだろうが、
 ある日、釣りをしておると宝箱を釣り上げたんだ!

 中には赤エーテルがどっさり入っておった! そりゃもう、あふれんばかりにな!

 ほんの数個摂取しただけなのに、ワシはあれからまったく年を取っておらんのだ!

 ワシの長年の信条はな、運とは分かち合うものだということだ。
 だから、ワシは世界旅行に出て、発見した赤エーテルを全部人に譲った。

 最後のひとつを譲ってからもうかなり経つが、もし今も持っておったんなら、
 喜んでお前さんに渡したのだがなぁ。

 幸運は分かち合うものだし、お前さんには可能な限り多くの運が必要なようだしな。

 ……そういやあ、今考えてみれば、ワシはこれまでの人生で実に多くの宝箱を発見してきた。

 ワシはまったく果報者だなぁ!

 このドリルだって、どぶの中で見つけたんだぞぉ!


生きた金庫のアッティコス
 家族のためにもっと金を稼ぎたかったから、家を出て銀行で働き始めたんだ。
 銀行業はどうだったかって? 友よ、ボクは夢中になったよ。ろりゃもう、どっぷりね。

 帳簿を黒字にして、数字がぐんぐん上がって行くのを見るのが爽快でね!

 すっかり取りつかれて、何年もそこで過ごしたよ。
 家族のことが眼中になくなってしまった。

 けど、金なんて所詮は目的達成の一手段に過ぎないんだよ、友よ。ボクは目がくらんでいたのさ。
 だって、よーく見てくれよ! 金が好きすぎて、自分を金庫にしちゃったんだぞ!

 まあ、なんだ……
 今だって金庫でいるのを楽しんでるけど、ちょっとやりすぎたかなとは思うんだ。

 浮世を漂うさすらいの金庫、なんてな、今のは単なる浮き輪ジョークさ。

 けどホントの話、金庫でいるのは気に入ってるんだよ!


生きた金庫のアッティコス
 どれくらい銀行で働いたかは分からないけど、
 ようやく故郷に戻ると、妻は年取ってたし、息子はいっちょ前の男になっててさ。

 合わせる顔がなかったよ。いたたまれない気持ちだった。

 けど、埋め合わせをしなきゃならないってことは分かってたから、
 街に戻って、仕事を辞めたんだ。自助グループにも入った。
 金の魅力ってとてつもないからさ、サポートが必要だってのが分かってたんだ。

 ……けど、ひとこと言わせてくれよ。
 金を稼ぎすぎてるのが悩みっていう人たちが集まるグループに参加するのは、体裁が悪かったよ!


アーキテクトのノア
 ごきげんよう、若者よ。毎日こーんな天気ならいいと思わんかね?
 お望みなら、固定して差し上げるぞぉ。

 いやいや、待て待て。それはできん。
 ワシには、天気の固定など無理だ。

 ……少なくとも、今のところはな!

 いや、待てよ、ここではいつだって同じ天気じゃないか。

 今のは忘れてくれぃ!


生きた金庫のアッティコス
 あのじいさんがアーキテクトって呼ばれてるのは、趣味の悪い話を語るせいではないよ。

 ……変なドリルを持ってるせいでもない。

 あの人はね、プレハブハウスを考案したんだよ。
 プレハブハウスっていうのは、部屋の形から壁の高さ、ドアの配置、それに下水にいたるまで、
 あらゆる要素を標準化したものさ!

 君が建ててる屋敷があるだろ? あれだって、ほぼすべて、あの人のプレハブハウスをアレンジしたもの
 でできてるんだよ。

 あのじいさんがプレハブハウスを設計したそもそもの理由は
 ちゃっちゃと建てられる家を作って、貧しい人たちを助けるためさ。
 部屋の大きさや形が常に同じなら、必要な建築資材だって大量生産できるし、
 取り付け方をみんなに教えるのだって簡単だろう?

 プレハブハウスを使う人が増えれば増えるほど、その設計がより定着していくのさ。

 王はプレハブハウスの利点に気づいて、すぐに将来的な建築の標準規格にしたんだ。

 地転が発生し始めたことを考えれば、そうしたのは正しい判断だったみたいだね。
 つまりね、似たような形や大きさの部屋がそこらじゅうにわんさかあるのは、
 アーキテクトのおかげってわけさ。

 あの人は、アイデアを独占して住宅市場帝国を築き上げることだってできたのに、
 全部タダであげちゃったんだよ。
 ……あそこまで無私な篤志家を見ると、まったく度肝を抜かれるよ。


生きた金庫のアッティコス
 ボクはね、首都で資産を全部売却するのに、あまりにも時間をかけすぎてしまったんだ。
 故郷に戻ると、妻はもう死んでいたし、息子は村にいなかった。

 旅人として放浪生活を送っていた息子を見つけるのは、大変だったよ。
 街から街へと移って、あちこちで雑用をこなしていたからね。
 遠くから息子の後を追って、様子を見守ったんだ。

 父親と同じように成功している姿を見たかったからね!

 まあ、全然成功してなかったけどさ。どんな仕事をしようと、失敗ばかりしていた。
 こっそりお金をあげたりもしたんだよ――時々、あの子の持ち物に金を忍ばせてね。

 でもまったく理解不能なことに、そのたびにあの子は金を他人にやってた。
 もう、イライラしたよ!

 金融業界では、そういうのを…… 時価総額の下落…… あれ?

 おいおいおい、このボクが、金融用語を忘れつつあるのか!?


アーキテクトのノア
 若者よぉ、賢いゾウの話をしてやろう。

 昔々あるところに、ゾウがおった。賢いゾウだ。
 そこには、サーカスの調教師もおった。賢い調教師だ。

 賢いゾウは、賢い調教師のテントに何度となく忍び込んでは、
 そこにあった賢いピーナツを食い荒らした。

 非常に賢いピーナツをだ。

 ある日、賢い調教師はもう我慢ならんと思った。
 彼は賢いピーナツを賢い家の中に入れると、賢いゾウを捕まえるべく、
 賢いテントの中に身を潜めた。

 その夜、賢いテントの中に侵入した賢いゾウは、そこで賢い調教師に見つかった。
 そこで賢いゾウは、賢い調教師を代わりに食べてしまった。

 おしまーい。

 このお話の教訓はなぁ、設定を変えるだけでまったく新しい物語ができることもあるってことだ。

 ……いつか、また別の話を聞かせてやるぞ、若者よ。賢いサルの話だ。

 ……新たな設定は手に汗握るものになっておるから、楽しみにしててくれぃ!


アーキテクトのノア
 若者よぉ、生きた金庫と話したことはあるかね?
 彼は、ワシのゴールドの管理を手伝ってくれとるんだ。

 ワシは金のやりくりが大の苦手でなぁ、破産しないように助けてくれとる。
 まったく、実に親切な金庫だな。


生きた金庫のアッティコス
 ボクはね、老いつつある息子を放っておけなかったよ。
 だから、残りの持ち金をすべてはたいて十分な量の赤エーテルを買ったんだ。
 息子があと百倍は長生きするようにね。

 それを、絶対にあの子が見つけるところに隠しておいた。
 あの子はボクの血を引いてるんだから、優秀に決まってる。

 ……その優秀さを活かしきるのに、もうちょっと時間が必要なだけだったんだ。


アーキテクトのノア
 若者よぉ、ちっちゃなネズミの話をしてやったことはあるかね?

 昔々あるところに、ちっちゃなネズミがおった。
 ある時そのネズミは、網に引っかかったライオンに出くわした。
 網から逃れるのを手伝って欲しいとライオンは頼んだが、
 ネズミは自由になったライオンに食われてしまうことを恐れた。

 食べたりしないとライオンが約束したので、ネズミは網をかじり始めた。
 もうちょっとで網から逃れられるというとき、
 ライオンは哀れなネズミに襲い掛かり、食ってしまった。

 しかしネズミは網を完全には嚙み切っていなかったため、
 ライオンは網から自由になることができなかった。
 そうして何日も何日も網に捕われたままのライオンのもとに、
 ある日、前よりも大きなネズミがやってきた。

 ライオンは網をかみ切って自由の身にしてくれるよう大きなネズミに頼んだが、
 その代わりにネズミはライオンを食ってしまった。

 このお話の教訓はなぁ、この世は食うか食われるかだってことだ。
 それに、性悪な奴はみんなに嫌われるということだな。

 この話を聞いた誰もが、ライオンに食われた小さなネズミに同情し、
 ライオンが当然の報いを受けると大喜びしたものだ。

 ……お前さんも、いつの日か食われるだろう。

 その時に、人々が喝采しないような生き方をするのだぞぉぉ。


生きた金庫のアッティコス
 やあ、友よ。リッチな気分かい? だって、見たところすごくリッチそうだよ!

 ……君ってリッチだったっけ? うーん。


アーキテクトのノア
 若者よぉ、話はもうあまり残っておらん。
 言ったろぉ、ワシはつまらん語り手だって。


生きた金庫のアッティコス
 赤エーテルをすべて与えた時、息子に何かあげるのはこれが最後だと心に決めたんだ。

 必ずやり通すことがボクにもひとつあるとすれば、それは約束を守ることだ。
 だからこそ、顧客はボクを信用して金を預けるんだからね。

 ……けどね、息子ときたら…… その赤エーテルも全部人にあげちゃったんだよ。


アーキテクトのノア
 若者よぉ、賢いサルの話をしてやろう。

 昔々あるところに、サルがおった。賢いサルだ。
 そこには、サーカスの調教師もおった。賢い調教師だ。

 賢いサルは、賢い調教師のテントに何度となく忍び込んでは、
 そこにあった賢いバナナを食い荒らした。

 非常に賢いピーナツをだ。いや…… バナナをな。

 ある日、賢い調教師はもう我慢ならんと思った。
 彼は賢いバナナを賢い家の中に入れると、
 賢いサルを捕まえるべく、賢いテントの中に身を潜めた。

 その夜、賢いテントの中に侵入した賢いサルは、そこで賢い調教師に食われてしまった。

 おしまーい。

 このお話の教訓はな、同じことを何度も何度もやってれば、いずれ捕まってしまうってことだ。

 ……それに、この物語の結末が本当はどんなだったか、忘れてしまったからなぁぁ。


アーキテクトのノア
 吟遊詩人をやってた頃、ワシの物語を楽しんでくれる者など皆無だった。
 ワシの話は常に既知のものとはちぃぃと違っとったからな。

 観衆は騙されたような気がしたんだろうなぁ。
 ワシは皆に新しいものを聞かせてやろうとしたんだが、彼らは慣れ親しんだものを聞きたがった。

 反復にはぬくもりがある。慣れたものからは安らぎを感じられるんだ。
 だが、未知の領域に乗り出してこそ、進化が得られる!

 個性には美があるんだ、若者よぉ。

 お前さんが自分の個性を見つけたら、その時にはその重要性を理解するだろう。


アーキテクトのノア
 若者よぉ、たった今気づいたんだが、ワシのドリルには画面が搭載されておる……
 この妙なからくりは、この世界のものではないような気がするんだがなぁぁ。


生きた金庫のアッティコス
 ボクはずっとね、息子のことを無能だと思ってたんだ。
 金も稼げず仕事も長続きしない、ちょっとガッカリな奴だってね。

 父親と同じように成功して、裕福な人生を送ってほしかったんだよ。
 だけど、ボクはただ自分の過ちを覆い隠そうとしていただけだった。
 ボクはね、家族のもとを去るべきじゃなかったんだ。

 金は麻薬みたいなものさ。いくらあっても、もっともっと欲しくなるんだ。


アーキテクトのノア
 アトスがなぁ、ワシのメガネを直してくれたんだ。
 あやつがガラス吹き工でもあったとは、知らなんだ。
 ワシと一緒で、あやつも長年の間に色んな技術を身に付けたんだな。

 ……ワシと違って、それらの技術に秀でておるしなぁ。


生きた金庫のアッティコス
 やがて息子は、自分の特技を見つけたよ。
 実はあの子には、建築の才能があったんだ。

 皮肉だよ。豊かな才能があるのに、そこからまったく金を得ようとしなかったんだから。

 友よ、ボクは息子を愛している。
 優しくて寛大で、あの子の近くにいるとボクもいい奴になれる。
 息子からいくつも人生の教訓を学んだおかげで、
 (君のような)金に無知な貧乏人に手を差し伸べるまでになったんだ。

 ようやく、ボクも有意義な人生を送っている気がしているよ。


アーキテクトのノア
 子供の頃、ワシの父も物語を語ってくれてな。
 ものすごーく面倒くさがりな人だったから、
 本を買いに行く代わりに、記憶を頼りに暗唱してくれたんだ。

 細かい設定は変わるし、大筋も変わるし、時には教訓まで変わった。

 だからこそ、口承とはかくも素晴らしいものなんだよ、若者よぉぉ。
 物語も、ワシら同様に変わっていくんだ。

 紙に書かれた物語は、変えることができない。
 これはタイムカプセルと同じで、現在の姿ではなく当時の面影のみを見せるものなんだなぁ。

 ……で、それこそがこの話の教訓だ。

 かけがえのない「お前さん」とはな、今現在の「お前さん」だけなのだ。

 おしまーい。

 ……

 ……お前さん、何でまだここにおるんだぁ?


生きた金庫のアッティコス
 ……フンガァ?

 ごめんごめん。日差しのせいで、つい眠りこけてしまった。何か用かな?


アーキテクトのノア
 話はもう底をついたぞぉ、若者よ。
 泉がからっからでな…… 今のところは。

 まぁ言い換えれば、もうちょっとしたらまた潤うかもってことだ。


アーキテクトのノア
 ごきげんよう、若者よぉ。

 昼は長く、夜は消え失せ、ワシらは永遠に生き続けるだろう!


生きた金庫のアッティコス
 ここから出たら、息子に自分の正体を明かそうと思っているんだ。

 あの頃何も言わなかったボクは、バカだった。
 ましてや、未だに何も言っていないなんて、愚かにもほどがある。

 ……これまで話を聞いてくれて、ありがとう。
 話せる相手がいたおかげで、ずいぶん救われたよ。


アーキテクトのノア
 若者よぉ、これまでの旅で、ワシは特殊な鉱物をたくさん集めたんだ。

 この石を見てくれぃ。
 ソウルストーンと呼ばれておってな、これらはまさに冒険の縮図と言ってもいいだろう!

 ワシはもうすでに冒険を卒業しておるが、お前さんはまだまだやれる。
 これを受け取って、お前さんが見つけた冒険をワシと共有しておくれ。

 そうすれば、それらの物語をわんさか吸収して、ワシのものとして語れるだろう?


生きた金庫のアッティコス
 友よ、今日はどうかしたかい?


生きた金庫のアッティコス
 やあ。君のおかげで、商売が大繁盛してるって知ってたかい? ホントだよ!

 ここでは、新たな顧客を獲得するのが難しかった。
 たぶん、経済的失敗の化身みたいなやつと話すのは、心地のいいことじゃないからだろう。

 たとえその化身が、浮き輪の上で大人しくプカプカ浮いてるだけでもね!

 だけど、君との会話が人々の警戒心を解いたのさ!

 君が話してるのを見て、ボクが話してるのを見て、やがてみんなが話し始めたんだ。

 とにかく、君に成功の分け前を与えないんじゃスッキリしないからさ、これを受け取ってくれ。
 長年の間に集めたソウルストーンを、君にあげるよ。

 賢く使ってくれよな、友よ……
 ……目ざとい買い手にとっては、ゴールドよりも価値があるものなんだから……

 ………

 ……ところで、目ざとい買い手っていうのは、時空漂流の館にいる子たちのことさ。
 ボクは、何でこんなあいまいな言い方をしてるんだろうね。

セリフ集:カロン,ゲーラス,ケーレス兄弟

ローグレガシー2の一回限りのセリフ集です。
汎用セリフや日記、記憶の断片などの何度でも聞ける(読める)セリフは省略しています。
金色の扉以降のセリフはさすがに自力で見てください。



世話人ゲーラス
 ……フガァッ、寝てなどおらんぞ!

 ………

 ……なんだ、おぬしじゃったか。よく来た、旅の者よ。ようやく会えたのう。

 世界間にたたずむわしらの寛ぎの世界、時空漂流の館へようこそ。
 わしの名前はゲーラス。魂の面倒を見ておる。

 わしの弟のカロンにはもう会ったじゃろう?
 背が高くて、陰鬱で、あまり喋らん奴じゃが。
 あやつのだんまりには悪気はないでの、気にせんでやっておくれ。
 あやつはまだ若いよって、反抗期真っ盛りなんじゃ。

 わしはどうかって? 話すのは大好きじゃ。もう、心からのう。
 人間の状態を理解するのに並々ならぬ興味があるでな。いくらやってもやり足りんくらいじゃ。

 それから、わしはちいっと過眠症の気があるでな、白河夜船に揺られる前にショップについて
 話をしておこうかの。

 ここは、時空漂流の館。地下世界の神々の住処じゃ。
 館は、時空を漂う各世界の間に位置する錨でもある。
 どこにも存在していないのと同時に、あらゆる場所に存在しておる。

 わしら地下世界の住人は、誰もが果たさねばならん使命を負っておるのじゃ。
 死者を運ぶ者もおれば、魂の面倒を見る者もおる。契約を結ぶんじゃ。
 重労働じゃが、やりがいのある使命じゃ。

 それに、わしらは神とはいえ、全知全能の存在じゃないでの。

 神々とはいえ、時には人間の手を借りねばならん時もあるんじゃよ。

 そこでおぬしに頼みがあるんじゃ!
 わしに手を貸すことは、おぬし自身に手を貸すことでもある。

 どうじゃ? もし興味を持ってくれたんなら、お喋りはこれくらいにして、
 さっそく取りかかるかの!


世話人ゲーラス
 集合的潜在意識が漂う幽界、エレボスへようこそ。

 この広大な世界ではの、生死を問わずあらゆる者どもの魂が互いにつながっておるのじゃ。
 ここでは、記憶も感情も行いも、すべてが露わになっておる。

 わかるかの、他者との接触が皆無の者など、存在せん。
 誰もが、何がしかの影響を他者に与え、そして他者から受けておるのじゃ。


世話人ゲーラス
 わしは、エレボスの魂の番人。高潔な感情を育み、悲観的な感情を摘み取っておる。

 じゃが時に、破滅的な出来事が発生して、
 心的外傷が土地の隅々にまで傷を残すことがあるんじゃ。
 放っておけば、これらのは次世代の者どもの精神を毒してしまう。


世話人ゲーラス
 世界にさまよう赤い記憶は、と呼ばれておる。
 わしのところに連れてきてくれれば、浄化の手助けをしてやろう。

 人間は最も陰鬱な恐れを表に出さぬものじゃからの、それがを見つけるのを難しくしておる。
 じゃが、わしには彼らのこだまが聞こえるのじゃ。
 じゃから、わしに声をかけてくれれば、彼らのもとへ連れて行ってやるぞ。


世話人ゲーラス
 これらの心的外傷……は、わしひとりで癒すことはできん。
 わしには、苦しむ人間に来る日も来る日も心から共感するだけの能力がないのじゃ。

 そこで、おぬしの手を借りたい。この地を癒すには、別の人間の共感が必要なのじゃ。

 おぬしの共感があれば、この世界を修復することができる。


世話人ゲーラス
 おぬしが旅の途中で目にするは、油断ならないものばかりじゃ。
 おぬしの能力を限界まで試すじゃろう。
 しかもエレボスでは、身体的な力があるだけではどうにもならん。
 おぬしの身体は、共感的なつながりにより抑制されるからの。

 じゃが、共感を見つけることでつながりを強化できれば、それらの抑制を軽減できるか、
 あるいは取り払うことすらできるかもしれん。


世話人ゲーラス
 旅の者よ、くぼ地の頂上へようこそ。

 おぬしが登っておるこの山は、わしのじゃ。これは、人間を救うのに失敗するのでは
 なかろうかというわしの恐れとともに、膨張し続けておる。

 ここでは、途方もない数の痛みと苦しみが渦巻いてきた。
 あまたのが凶暴化して、大地を穢しておる。

 わしらの心の傷は下の世代へと引き継がれ、数えきれんほどの世代が堕落することじゃろう。

 これらの人間たちは、もっと良い人生を送るに値する。

 どうじゃ? この絶望的な状況に終止符を打つために、力になってくれんか?

 簡単なことじゃないのは分かっておる。これほど大きな山じゃからの。

 ……それに、良い業績を残せば、トロフィーを進呈するぞ!
 トロフィーが嫌いな者など、おらんからじゃろ!(原文ママ)



双子のケーレス
 こんにちは、旅の人。ソウルショップへようこそ。
屋根裏へようこそ!

 ボクの名前はケーレスで、そこにいるはねっかえりは、妹の……同じくケーレスっていうんだ。
あたいが本物のケーレスだけどね!

 理想的な立地条件とは言えないけど、うちには超一級品の商品がそろっているよ。
 最高に目の肥えたお客さんにのみ提供しているんだ。
ウィンドウショッピングはお断り!

 カタログを見る時には、支払い方法がソウルストーンのみだということに注意してね。
 鉱石や、エーテルは使えないよ。もちろん、ボクたちのお兄ちゃんが夢中になっている、
 ゴールドなんてありふれたものでは払えないからね。
河の守人の魂は、超スパイシーなんだよね!

 うちで取り扱っているのは物質的な商品ではなくて、貴重品中の貴重品…… 潜在力さ!
 その力を完全に引き出すには、購入後の手入れが必要だけど……
 「不屈の努力を伴わない力など、力とは呼べない」って言うだろう?
どこの誰がそんなこと言ってんの!?



渡し守のカロン
 ……入りたくば代償を支払うがいい。


渡し守のカロン
 ……戻ったのか。


渡し守のカロン
 ……死を欺く者よ、よくぞ来た。


渡し守のカロン
 ……また来たのか、流れ者よ。


渡し守のカロン
 ……二人一緒に旅をするのか?


渡し守のカロン
 ……また二人旅か?


渡し守のカロン
 ……我が舟で吐くのはやめてもらおうか。


渡し守のカロン
 ……おまえのしつこさは、称賛に値するな、流れ者よ。


渡し守のカロン
 ……今朝は波が高い。

 ……吐くんじゃないぞ。


渡し守のカロン
 ……遠くの浜まで行くのは無理だ。
 ……行けるのはまっすぐな航路のみ。


渡し守のカロン
 ……おまえたちは、また共に旅するのか?


渡し守のカロン
 ……リサーン・アスフールのスープか。
 ……感謝する。


渡し守のカロン
 ……付術師に礼を伝えてくれ。


渡し守のカロン
 ……波止場でまた会うことになろう。


渡し守のカロン
 ……流れ者よ、また来たか。


渡し守のカロン
 ……鍛冶師は我が剣に目をつけておるが、これはあやつの手には渡らん。


渡し守のカロン
 ……あの娘は代償を払ったことがない。

 ……支払いはピザでもいいと伝えよ。


渡し守のカロン
 ……いつもの浜か、流れ者よ?


渡し守のカロン
 ……流れ者よ、もっとピザはないのか?


渡し守のカロン
 ……再び旅が始まるのか?


渡し守のカロン
 ……流れ者よ、食べ物をたくさんくれたことを恩に着るぞ。

 ……これは双子のケーレスの好物だ。おまえの旅の役に立てばいいがな。


セリフ集:王国にいる人?たち

ローグレガシー2の一回限りのセリフ集です。
汎用セリフや日記、記憶の断片などの何度でも聞ける(読める)セリフは省略しています。
金色の扉以降のセリフはさすがに自力で見てください。



名もなき騎士
 地下深くへ降りるつもりなのか?
 気を抜くな。うぬぼれは命取りになるぞ。

 河の守人ですら、火輪のランタンなしに下ったりしない。

 あのランタンは、今では非常に貴重なものだ。
 現在残っているものも、残り火が消えて久しい。

 太陽を修復してくれたなら、燃えさしに再び火を灯してやれる。

 ……残りはその際に話そう。


名もなき騎士
 河の守人ですら、火輪のランタンなしにピション涸れ湖を下ったりはしない。

 ……ましてや、お前は河の守人ではない。



書のアイソーポス
 おやおや、妙なやつのお出ましだ。また新たな魂が、止まり木を探してここに来たか。
 わしの力を求めているのだろう?

 ひとつ教えておいてやろう…… わしは、すべてお見通しだぞ。

 嘘の先、慢心の先、時の先。
 わしにはな、真実がむき出しにさらされている、感情の一番上が見えるのだ。

 そしてわしが、お前に何を見るか分かるか? 恐怖におののく哀れな魂だ。
 おむつが取れてまだ間もない、とんだ鼻たれ小僧だな。

 小僧。これほどまでに醜悪なその外見の内側は、一体どんな……

 ……ほう、興味深い……

 お前の中には、どれだけの人間が潜んでいるのだ?

 お前が何を企んでいるかは知らないが、試練を受けるのを止めはしない。

 ……面白いことになりそうだ。

 小僧、ひとつ助言してやろうか? わしが持っているのは、共感の力だ。
 それを使って、試練を乗り越えるがいい。

 先に命を落とした者どもの声に耳を傾けるのだ。そやつらの失敗から学ぶことで、
 ひょっとしたら…… ひょーっとしたら、お前にも勝ち目があるかもしれないな。


書のアイソーポス
 ほほーう! よくやったぞ、小僧! 耳を傾け、学ぶ力があることを証明したな。
 この力が、先々お前の役に立つだろう。

 いいか、人は噓をつくかもしれない。だが、感情は常に真実を語るものだ。

 ……そうそう、もうひとつ言っておこう。
 時として、敵と共感的なつながりをもつことが有益な場合がある。

 わしには、お前が対峙するであろう者が誰か分かっている…… お前も知っておくべきだ。

 今日のところは、お喋りはもう十分だな。
 よし、小僧。わしの共感の力を受け取って、活動開始といこうじゃないか!




肩掛けのアナンケ
 ……ほえ? わらわの小堂に入り込むとは一体何者じゃ?

 わらべよ、道に迷ったのか?
 わらわは、肩掛けのアナンケじゃ。

 わらわは、受けるに値する者に、秘められし底知れぬ力を与える家宝じゃ。

 わらわを乞い求める者らは、筋骨たくましき強者ぞろいじゃが……
 わらべよ、そなたはぷにぷに、ころころじゃの。

 ……まことに、ころころしておる。

 わらわの中では、推進の力が待ち受けておる。
 それを乗り越えれば、わらわの力はそなたのものとなろう。

 じゃが、警告しておくぞ。試練の空間で直面する危険はまことのもの。
 失敗すれば取り返しのつかぬことになるゆえ、油断は禁物じゃ。


肩掛けのアナンケ
 ……よくぞやった、わらべよ。己の力を見事に証明したな。
 さあ、ここに参り、推進の力を受け継ぐがよい。わらわとそなたの魂を、結び付けるのじゃ!




反響のエコー
 やっほ~~~!
 アタシの試練を受けたいんでしょ?……そうでしょ???

 ちょっとぉ~、受けてってば。アタシね、もうかなりの間ここに閉じ込められちゃってんの。
 君には想像もできないくらい長い間なんだよ。

 1回くらい試してみてよ~。心配なんかいらないって、超楽勝だから!
 いい? 君が試練をやり遂げたらさ、アタシの反響の力は君のもん。

 超貴重なヤツだから。もーマジで。想像を超えるほど、すごいんだからね。
 だからさぁ、ちゃっちゃと挑んじゃってよ!


反響のエコー
 うわ~、すごーい。やったじゃん!

 解放してくれて、サンキュー!
 じゃあ、活動始動といきますか!
 パーッと楽しもうね!




西風のアイテール
 よく聞け……

 ……我には、見える……
 他の者どもが……

 お前は……
 前にも、これをしたことがあるな……

 我は、アイテール。西風の力を宿す者。

 ……言うことは、それだけだ……


西風のアイテール
 ……今のお前…… カッコよかったぞ。




虚空のパラス
 ……(家宝からは返事がない)


虚空のパラス
 ……んん? あら、こんにちは。
 ごめんなさいね、昼寝してたもんだから。

 で!
 君、私の虚空の力が欲しくて来たんでしょう?
 うーん、ひとつ言っておくと、
 簡単じゃないわ。

 あら……
 ……もう手に入れたの?

 ……
 ……
 ……おめでとう……




名もなき騎士
 旅の者、お前が先に進む前に贈り物を授けてやろう。
 この先、必ずこれが必要になる。

 火輪のランタンと呼ばれるもので、闇路を照らしてくれる家宝だ。

 明かりは数年前に消えてしまった。
 だが、太陽を修復してくれたおかげで、再び火が灯ったようだ。、



名もなき騎士
 火輪のランタンを大切に扱ってくれ。
 それが最後のひとつなのだからな。

 他のは、ニビル洪水で失われてしまった。




巨大竜ラードーン
 上の世界からここに連れてこられて以来……

 ……千もの年が巡った……

 汚らわしき河の守人イラドと、その竜騎士どもに襲われたのだ……
 長き眠りの終わり……

 我がこれ以上なく弱っていた時にだ。

 あの者らの流儀に誉れなどない…… あるのは策略のみだ……


巨大竜ラードーン
 我らドラゴンに、老いはない。
 体は大きくなろう……
 大地が許す限りに……

 ここを取り囲む壁は、我が身がそうすることを拒んだ。

 されど、ここは我の永遠のねどこ。

 気をつけて参られよ……

 囚われの身になどならぬように。


巨大竜ラードーン
 我が火焔は消え失せた。

 どこか奥深くに囚われておるのだ。

 毎夜、我は息をすべく悶え苦しむ……

 そして夜ごとに、我が身体は冷えてゆく。


巨大竜ラードーン
 かつてメフヤエルは、我の管理を任されておった。
 そなたら人間どもから慕われる河の守人であった。

 立場としては敵だったのだろうが……

 あやつの死には、ひどく胸が痛んだ。


巨大竜ラードーン
 トバルをたばかったのは……

 そなたと似ておるが、しかし異なる類の者どもだった。

 妙な匂いをまとっておった……
 それに、敬意に値する絆をもっておった……

 ことを成し遂げると、あの者どもはステュクスへと還っていった。

 生身の人間ではなかった……
 ということは、河の守人であったのだろうか……

 されど、これまでにあのような匂いを嗅いだことはない。


巨大竜ラードーン
 若き者よ……
 耳を貸してくれたこと、恩に着る。

 我が受けた時間に見合う贈り物……
 それに値するものを授けよう。